2021年03月22日

◆【変見自在】朝日の隠しごと

高山 正之
 

『週刊新潮』 令和3年3月25日号

 エジソンは直流電流で電気事業を立ち上げた。

 部下のニコラ・テラスは交流がいいと主張し続けてクビにされた。
テスラはライバル企業のウエスティングハウス(WH)に移って交流の
事業化を進めた。

 彼はセルビアが生んだ天才で、今、150キロしか走らない電気自動車
も、彼の名に因んだものだ。

 エジソンは直流のシンプルさがいいと信じ、交流は「危ない殺人電気
だ」とネガティブ・キャンペーンでテラスを虐めた。

 実際、犬や馬を交流電気で感電死させるイベントをあちこちで開いた。

 死刑に交流電気椅子を使えばとも勧めた。米国人はグロだから、面白
い、それでいこうとなった。

 最初に電気椅子に座ったのは斧で妻をぶち殺した30歳のドイツ人だった。

 しかし処刑は馬ほどうまくいかず、二度目の長い通電で死刑囚は黒焦げ
になって焼け死んだ。

 それでも交流の良さは打ち消せず、エジソンは一敗地に塗れた。

 エジソンのGE社は以後、テスラのWH社を相手に何件も訴訟を起こす
が、テスラの知恵は別格だった。

 両社の戦いは戦後も続き、最後の勝負は発電用軽水炉で争われた。

 GEは電気のときと同じにシンプルな沸騰水型を持ち出し、対してWH
は複雑だが安全性の高い加圧水型を世に出した。

 勝負はすぐついた。

 米海軍は潜水艦搭載にWHの加圧水型を選んだ。

 炉の周りで働く将兵の命を託すに値するのはWH製と判断したからだ。

 土光敏夫もエネルギー資源を持たない日本には原発しかないと思った。
視察した結論はWH社製だった。

 土光はまた石川島播磨、東芝、日立に自前の原子炉技術を開発させた。

 土光の見立て通り、九電力は軽水炉を導入していったが、ただWH製だ
けではなくGE製も東電が入れた。

 米国の圧力があったと思われる。土光は直ちにGEの介助に子飼いの石
播と東芝を充てた。何かあった時に備えたものだ。

 実際、GEはエジソンと同じだった。ふんぞり返って日本側にノウハウ
は教えず、格納容器も見せなかった。すべて完成し、スイッチを入れるだ
けのターンキー方式だった。日本を未開発国並みに扱った。

 いいものならそれでいいが、いざキーを回したらあちこち故障だらけ
だった。

 放射線漏れや腐蝕割れもあって、運転効率はたった16%という有様だ。

 石播、東芝がそこで動いた。心臓部の材質も変えて、GE社も見違える
ほど安全な炉に生まれ変わった。

 GE製は安全性も疎かだった。万が一のとき、格納容器から高圧ガスを
抜くベントすらなかった。

 事故が起きれば即チェルノブイリだった。

 日本側はベントを新たに付けた。公表しなかったのはGE社への配慮も
あるが、もう一つ。馬鹿な朝日新聞が「昨日まで暴走原子炉だったんだ」
とか騒ぐからだ。

 3・11もGEの「低地に作れ」設計があだになった。

 ただ福島をチェルノブイリにしなかったのは日本側の自立保守のおかげ
だった。

 そして10年。朝日がまた原発糾弾を展開した。

 ベントに欠陥と無知な批判を浴びせ、電源は「地震で落ちたから地震大
国に原発は危険」とも主張した。

 溜まった使用済み燃料からは「6千発の核爆弾ができる」と繰り返して
人々にあらぬ期待を持たせた。

 「再び事故があれば日本は終わり」だから「脱原発の決意を」と提言する。

 日本を憂え、再生エネで綺麗に暮らそう風に聞こえるが、朝日が並べた
脱原発の理由は吉田清治の話と同じ、悉(ことごと)く嘘だ。

 電源喪失は津波であって地震は関係なかった。

 軽水炉の使用済み燃料では核爆弾は作れない。

 だいたい炉も欠陥もみなGE製なのに、朝日はそれを隠し続けた。

 10年、そんな嘘を並べては支那製の風力発電と韓国製の太陽パネルを勧
めた。

 朝日は大幅経常赤だ。それで宣伝費でももらったか。


出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)3月25日号

    【変見自在】朝日の隠しごと

著者:高山 正之
高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。

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松本市 久保田 康文 

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2021年03月19日

◆【変見自在】差別する憲法 

  高山 正之

 
『週刊新潮』 令和3年3月18日号

 明の初代皇帝、朱元璋はあれで国防にも心砕いた。

 周辺で最強国は日本だった。だから最新兵器の青銅砲の充実を図る一方
でその製造方法が日本人に漏れないよう注意せよと朱元璋自身が文書で命
じている。

 ただ肝心の火薬に問題があった。原料の木炭と硝石はあっても火山のな
い支那には硫黄がなかった。

 日本には沢山ある。交易も一案だが、そうしたら日本人は何でそんなに
硫黄を欲しがるか、きっと疑う。

 で、朱元璋は琉球に目を付けた。沖縄の北に火山島があり、硫黄を無尽
蔵に産み出していた。

 皇帝は36人だかの華人を琉球に送って硫黄を朝貢品にする手伝いをさ
せ、見返りに莫大なカネと宝物を琉球の王に贈った。

 王は大喜びして華人どもを大事に遇した。これが「久米三十六姓」だ。

 王朝が途絶えると、華人どもが権勢を振るい出し、沖縄の政財界を牛
耳った。元知事の仲井真弘多もその末裔の一人だ。

 彼らにへつらう沖縄人も出てくる。当時、那覇市長だった翁長雄志もそ
の一人だった。

 彼は末裔たちが祖先を祀る「至聖廟」の用地に松山公園の敷地を提供し
た。年間600万円の地代はもちろん免除だ。

 市民は怒った。何で華人の廟に市が援助するのか。それって「いかなる
宗教にもカネを出すな」という憲法20条に違反していないかと訴えた。

 先日の最高裁は訴え通り違憲判断を下した。

 当たり前の結論に見えるが、実は宗教関係者にはこれが激震として伝
わった。

 誰も口にしないけれど日本の憲法はマッカーサーが作ったのを知っている。

 その20条の「いかなる宗教」もマッカーサーの意向で神道だけを指し、
他の宗教は対象にしないことをみんな知っている。

 実際、マッカーサー自身がキリスト教普及のために日本政府のカネで
1500人の宣教師を呼んでいる。

 国際基督教大学の用地も政府に都合させた。

 長崎市は伴天連処刑場を市営公園にして26聖人像も飾った。

 日蓮を拝む外務次官(当時)は池田大作のアジア歴訪のとき、日本大使
館を通じて各国に国賓待遇させるよう命じた。その費用は国費で負担した。

 どれも「特定の宗教に国や自治体が便宜を図った」例だが、憲法20条は
「神道滅却条項」だ。その他の宗教はだれも訴えもしないで済んでいる。

 判事も思いは同じ。法廷でそう語ってもいる。

 昭和51年箕面忠魂碑訴訟はそのいい例だ。

 戦死した箕面市民300柱を祀る忠魂碑を市が公金で別の場所に移転
し、慰霊祭にも付き合った。それは違憲だと市内のキリスト教徒らが訴え
た事案だ。

 一審の大阪地裁では、自身クリスチャンの判事、古崎慶長が「忠魂碑は
天皇に忠義を尽くして死ぬことを賛美する軍国主義の道具」と敵意ある論
評を披歴。

 「日本人は宗教に極めて無節操」とも非難したうえで「新憲法の言う政
教分離を根付かせるには(神道には邪見にあたる態度を)貫き通さねばな
らない」と理由を述べて違憲と断じた。さらに関与した市長に超高額な懲
罰的罰金を科す判決を下した。

 キリスト教徒らしい狭量で残忍な主文だった。

 その「神道だけ叩け」は今日まで変わらなかったが、最高裁判決は「い
かなる宗教」に例外は一切ないと言い放ったわけだ。

 坊主たちにはショックだ。

 政府にローマ法王を招聘させ献金でぼろ儲けしたカトリック団体はもう
二匹目の泥鰌(どじょう)は望めないということだから。

 今回の判断のために最高裁は大法廷を開いた。15人のうち14人が「神道
だけを苛めろ」とした従来介錯を変えたが、もう一歩踏み込んで欲しかった。

 20条の立法意図だ。そこには明らかに差別と苛めの勧めがある。何と異
様な。

 それは前文の国家の自立放棄にも象徴天皇条項にもはっきり窺える。

 あの憲法は悪意の塊。やめちまうのも一興と一人くらい傍論して欲し
かった。


出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)3月18日号
【変見自在】差別する憲法
著者:高山 正之

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2021年03月09日

◆【変見自在】国際世論を作る

高山 正之
 

『週刊新潮』 令和3年3月4日号

 ちょっと前の話だ。拉致問題担当大臣の山谷えり子が外人記者会のゲス
トスピーカーに呼ばれた。

 北朝鮮は黙り、日本は被害者を奪還する手だてもない。そんな中で外人
特派員がやっと関心を持ってくれた。山谷は一条の光を見る思いで会見に
臨んだ。

 まず英タイムズのペリー記者が立ったが、質問は拉致ではなく「マスキ
を知っているか」だった。

 訝(いぶか)る山谷に「一緒に写った写真がある」と続ける。

 米人記者アデルシュタインが「マスキは在特会の男ですね」と畳みかける。

 在特会とは資格もないのに生活保護を受けている在日に反省を求める市
民団体のことだ。

 その団体の一人マスキが山谷と親しげにしていた。

 それが問題だと江川紹子も入れて10人くらいが山谷を吊し上げた。

 こんなひどい会見がなぜ開かれたか。ヒントはその1カ月前、朝日新聞
の慰安婦問題の素、吉田清治の話は「みんな嘘でした」の告解にあった。

 慰安婦はただの売春婦だった。それで朝日の嘘に乗って日本を貶めてき
た外人記者の立場がない。

 思いは慰安婦で日本にたかってきた韓国も同じ。

 早急に朝日批判の世論を鎮めたい。併せて慰安婦の嘘を暴いた安倍政権
を叩き潰すネタを探し出して仕返しせねばばらない。

 で、見つかったのが彼女の遊説中に撮られた一葉の写真だった。

 山谷の招聘が決まり、あとは彼女を吊し上げて辞任に追い込み、安倍の
任命責任を追及する手筈だった。

 そのために韓国ロビーはかなり貧しい外人記者に随分ばら撒いたと聞く。

 かくて会見が開かれ、袋叩きの模様は翌日の朝日、毎日が大きく報じ
た。東京新聞は「山谷は霊感商法の統一教会系の新聞にも出ていた」と続
報を流した。

 しかし赤い御三家が懸命に騒いでも世論の方は30年、日本を嘘で貶めた
朝日を許す気はなかった。

 クビが飛んだのは山谷ではなく朝日の社長だった。

 外人記者会を舞台にした政局作りは失敗に終わったが、実を言うともと
もとこの外人記者会こそ日本を政局化する装置としてGHQが置いたもの
なのだ。

 最初の仕掛けは昭和21年。GHQが次期首相の「鳩山一郎を潰せ」と特
派員連中に命じた。

 材料は「ヒットラーを称揚する手記だった」とマーク・ゲイン『ニッポ
ン日記』にある。

 鳩山は外人記者会の午餐会に招かれたが、夕刻まで続いた質疑はみな
ヒットラー絡み。翌日の新聞にも叩かれ、結局、追放された。

 田中角栄も同じ。

 彼は米国に断りなしに日支国交を回復した。

 それは支那市場を「太平洋の向こうのマニュフェスト・ディスティ
ニー」と見る米国をいたく怒らせた。

 角栄はまた「日本が血を流して独立させた」(G・ホーン『人種戦
争』)東南アジア諸国にも近づいた。これも日本再起を警戒する米国には
許せなかった。

 角栄は時局をテーマに外人記者会に呼ばれたが、ロサンゼルス・タイム
ズ記者らの質問は「田中金脈」ただそれだけ。同じ話が執拗に繰り返さ
れ、それが外電で報じられ、日本の新聞もお騒ぎになって首相辞任に追い
込まれた。

 角栄を措けば人材はいない。以後の宰相は米国どころか支那韓国に遠慮
して靖国に行くのをやめた。

 外人記者会も開店休業で、今やフリーライターに毛が生えた連中だけに
なった。

 山谷を虐めたタイムズ記者はクイズに当たって日本に来た男だし、イタ
リアのデミリアは不法入国者だ。

 山谷会見のあと、加瀬英明ら「朝日を訴える会」がここで会見した。

 質疑の締めで加瀬が「あなた方は日本に奴隷がいなかったことも知らな
い」「みんな無知で不勉強だ」と評した。それは正しい。

 例えば森喜朗の女性論で、日本の新聞は日本を悪しざまに言う国際世論
をやたら気にする。

 それを書いている東京特派員の顔をたまには見てみるがいい。



出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)3月4日号

    【変見自在】国際世論を作る

著者:高山 正之



高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。

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2021年02月24日

◆【変見自在】朝日の他人こと

高山 正之
 

 新聞社の社長はだいたい新聞記者上がりがなる。

 そうでないのに産経新聞の鹿内(しかない)信隆がいた。台湾の知識人を
皆殺しにした蔣介石を褒め称え、「南京大虐殺はあった」と語らせた『蒋
介石秘録』まで出した。

 その点、記者上がりは社会の木鐸意識がある分、彼よりはかなりましだ。

 90年代末に朝日の社長になった箱島信一も経済部出身で、まあまともな
方の一人だった。

 彼が就任して2カ月。いつものように自社の新聞を開いて仰天した。

 一面トップに東京高検の検事長、則定衡(のりさだまもる)が銀座のクラ
ブホステスと2度も公費で浮気出張したこと、彼女を身籠らせて知り合い
の業者に処置させたことなどが書かれていた。

 高検検事長と言えば次は検事総長にもなろうかというポストだ。

 その不行跡には目を剝くが、箱島が仰天したのはそっちではなく、記事
の書き出し部分にあった。

 そこには「今日発売予定の月刊誌『噂の真相』によると」とあった。

 出たばかりの、それも「現代のカストリ誌」風に言われる雑誌の記事を
そのまま載せるとは一体どういう料簡か。朝日の名が泣くと青筋3本も立
てた。

 岡留安則の名誉のために言えば「噂の真相」は並みの雑誌じゃあない。

 彼の取材に付き合ったことがある。銀座のお店に入るとママも女の子も
寄ってくる。

 他愛ないあんな話こんな話を聞いて小一時間で次の店に行く。

 そこもわっと女の子が寄ってくる。

 彼はそんなネタを掘り下げ、裏を取っていく。大方は各ページの欄外1
行記事として載る。

 そうやって数多のネタを掘っていけば、ときに則定みたいな金脈にもぶ
つかる。裏を取るのに1年かかるネタもあった。

 それにネタ元がバレればお店を潰しかねない。そこまで店にも女の子に
も信用され、愛される岡留を羨ましく思ったものだ。

 箱島も思いは同じだったと思う。カストリ誌をただコピペするなど論外
だ。ネタは自分の足で取ってこいと発破をかけた。

 ただ朝日の記者の9割9分は取材無精だ。歩くことも裏を取ることもな
い。それでコピペが駄目なら尤もらしく作るしかない。

 かくて本田雅和は「安倍晋三と中川昭一がNHKに圧力をかけて慰安婦
番組の内容を改変させた」という話を作り上げた。

 NHKは赤い。魚心で平仄(ひょうそく)を合わせると思ったものだが、
本田の話には穴が多すぎた。NHKも見捨てて全否定に回った。

 箱島は朝日が飼い慣らしてきた学者を急ぎ搔き集め、第三者が一人もい
ない第三者委員会を設置。捏造の原因は悪意でなく、本田の取材不足と結
論させた。ほんの微罪にした。

 ホットする暇はなかった。今度は長野支局の西山某記者と本社政治部の
曽我豪次長が「田中康夫と亀井静香が長野県下で会談を持ち新党立ち上げ
を話し合った」と報じた

 これも取材をしないで書いた偽り記事だった。朝日は支局員だけを解雇
にして幕引きをした。

 箱島は一時の怒りで記者に自力取材を求めたことを深く悔いた。

 取材に不慣れな者への無理強いが記事捏造を生んだのなら、それを防ぐ
にはコピペ容認しかなかった。涙の決断だった。

 先日の朝日の社説は「菅首相 人ごとではない」の見出しで、東北新社
に勤める首相の息子が所管の総務省役人を接待したことを取り上げていた。

 「息子はもう別人格」と逃げる首相を厳しく糾弾するのはいいが、ただ
糾弾ネタがすべて「週刊文春によると」だった。

 社説も週刊誌コピペとは笑えるが、もう一つ。

 箱島が捏造記事でクビなったあとの秋山耿太郎時代。彼の息子が大麻現
行犯で捕まった。

 秋山は「息子は別人格」と傲然言い放って辞任も謝罪もしなかった。

 「他人(ひと)ごとではない」とはこっちが言いたい。



出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)2月25日号

    【変見自在】朝日の他人ごと

著者:高山 正之
『週刊新潮』 令和3年2月25日号


松本市 久保田 康文さん採録 

2021年02月09日

◆【変見自在】アラブで実験を

高山 正之
 
『週刊新潮』 令和3年2月11日号

 10年前、無許可で露店を出したチュニジアの青年が婦人警官にしばかれた。

 青年は屈辱に耐えられず焼身自殺した。

 アラブ世界を仕切るイスラムの戒律は自殺の自由すら認めない。

 戒律はまた「劣った女はチャドルを被せて家に閉じ込めるよう」命じて
いた。

 そんな女たちがいつの間にかチャドルを脱ぎ棄てて警察官になっていた。

 そしてコーランでは女より遥かに偉い男を公衆の面前で張り倒した。男
の方も戒律に背いて自殺した。

 この事件は統治者ベンアリが戒律に拉(ひし)がれた民の目を見開かせみ
んな自由になったことを示していた。

 しかしニューヨーク・タイムズとか国際世論は別の見方を提示した。

 バンアリを「23年間も民の自由を奪い貧困を強いた独裁者」と呼び、青
年の死を悼む民衆に抗議デモを仕掛けるよう嗾(けしか)けた。

 その声はSNSを通して瞬く間に全土に広がり、ベンアリは1カ月も持
たずに追われた。世界はそれを「アラブの春」と呼んだ。

 その波にエルパラダイも乗った。国際原子力機関事務局長を務めただけ
でなぜかノーベル平和賞まで貰ったエジプト人だ。

 彼はカイロのタハリール広場に立ち、ベンアリより長期政権を続けるム
バラクの独裁を糾弾した。

 ここでもSNSが力を発揮したが、チュニジアとちょっと違ってイスラ
ムが強かった。「アラブの春」はイスラム坊主の仕切りでムバラクを潰した。

 エルパラダイは逆に「西欧の使徒」とされて「死刑」のフィトア(宣
告)が出された。『悪魔の詩』のサルマン・ラシュディと同じ。それで彼
は逃げ出した。

 次にSNSが潰すべき独裁者と名指ししたのがイスラムの女性見下しの
象徴、四人妻制を廃したリビアのカダフィだった。

 ただこの民はSNSに反応しなかった。それで誰かが「イスラム国」系
の戦士を送り込んで、米国製の武器も補給した。

 NATO空軍も5000回出撃してカダフィ抹殺が実現された。世界は
「アラブの春」に染まるリビアを祝福した。

 あれから10年。そのリビアで四人妻制が生き返り、女は閉じ込められ、
部族同士の殺し合いが続く。

 ほかの国々も同じ。春どころか冬に逆戻りし、日本の新聞もあの騒ぎが
何だったのか、答えも出せていない。

 そんな中、渦中にあったエルパラダイが「アラブの春は早すぎた」と英
字紙に自省の記を載せた。

 彼は「独裁者は倒すべきだ」としながらも、倒す側に「成熟した政党や
自由な論調を語るメディアが欠けていた」と指摘する。

 だから独裁者を倒したあと、収拾のつかない混乱に陥り、せっかく外し
た宗教のくびきにまた繋がれるという後退も起きた。

 あのとき俄かに巻き起こった「民主化の波」は決して民の中から自然に
湧き上がってきたものではなかったと示唆する。

 では誰があの波を起こしたか。先日の産経新聞の「21世紀の分岐点」に
興味深い一節があった。「米国務長官コンドリーザ・ライスがチュニジア
を訪ね、ベンアリにインターネットの自由を求めた」という。

 彼は諾々と応じフェイスブックが解禁された。

 それが人々の生活になじんだころ、そのSNSから青年の自殺とベンア
リへの非難と抗議デモ情報が溢れ出してきた。

 SNSがどんな影響力を持つか。一国を倒すことも可能か。それを誰か
が実験したことは確かだ。

 そう言えばあのとき、駐リビア米大使が殺され、それを聞いた国務長官
ヒラリーが仮病で入院した。何か関係があったのだろうか。

 因みにトランプはアラブの春を見てSNSの威力を知った。それでいい
加減な新聞に頼るよりツイッターでの政治をやり始めた。

 バイデンも倣った。おかしな大統領選のあと、すぐツイッターと
GAFAにトランプと彼のフォロアーの発信を封じさせた。

 バイデンはヒラリーと習近平を足して2で割った老人に見える。



出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)2月11日号

    【変見自在】アラブで実験を

著者:高山 正之



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2021年02月01日

◆【変見自在】四文字の姑息

高山 正之
 

バイデンが米大統領になった。78歳。高齢なうえに見るからに暗い。

 それもそうだ。彼は道徳観が低く、他人の論文を丸写しした過去がある。

 副大統領のときもウクライナの大手企業プリスマの重役ポストに息子ハ
ンターを押し込んだ。

 バレそうになってあちらの大統領に圧力をかけて検事総長をクビにさせた。

 尖閣の空はオレのものだと習近平が言い出すと、北京に飛んだ。支那が
息子の投資会社に15億ドルを出す約束を取り付けて、尖閣の空を売り払っ
ている。

 そんな男がまさかの大統領になった。いつ旧悪がバレるか。陰気なのは
そういう忸怩たる思いが彼の顔に滲み出ているからだ。

 それでも側近はまだましらしい。国務長官候補のブリンケンは公聴会で
「トランプの対支那政策は正しかった」と言った。

 彼はまたポンペオの「支那はウイグル人に強制労働や不妊手術を強いて
いる」「明らかなジェノサイド(民族殺戮)だ」ちょいう主張にも同意した。

 ポンペオの怒りは「赴任手術」に集約される。

 民族を滅ぼすには「女を壊せばいい」。

 旧約聖書にはユダヤ人がミディアンびとを征服すると、男は赤ん坊まで
皆殺しにし、妊婦の腹を裂いて胎児も殺して彼らのタネを絶やしたとある。

 処女は「神ヤハウエから兵士たちへの贈り物」とされ、妊娠させて民族
の純潔を奪うのも形だった。

 支那人はもっと惨い。

 毛沢東は内モンゴルを侵すと男も殺したが、女を壊すことに専念させ
た。「女に荒縄を跨がせて性器を破壊した」とか「妊婦の子宮に手を突っ
込んで胎児を引き出した」(楊海英『墓標なき草原』)とか。

 女が子を産めなくなれば民族は滅びる。インディアン戦争で、米騎兵隊
は男の戦士との戦いを極力避けて、居留地の女を殺し回ったのも同じ趣旨だ。

 ボスニア紛争ではセルビア人がイスラム集落の女を何百人も攫(さら)っ
て孕(はら)むまで暴行し、臨月を待って元の集落に返した。

 イスラムは異教徒との交わりを認めない。戻ってきた娘とお腹の子は家
族の絆を壊し、コミュニティの団結も崩していった。

 「女を破壊兵器として使う」とボスニアの戦場を取材したビバリー・ア
レンは『Rape Warfare』に書いている。

 女性の機能を暴力で壊すか医学的処理で壊すかの違いはあっても「支那
はウイグル人にジェノサイドを仕掛けている」と見る。

 このポンペオ演説はバイデンの就任前日の各紙に掲載された。

 ほとんど同文だが、朝日新聞だけは強制労働や棄教の強制には触れなが
ら、ポンペオが怒った肝心の「不妊手術」の四文字がない。

 なぜ省いたか。

 朝日は吉田清治の慰安婦の嘘がバレたとき編集担当の杉浦信之が一面で
「慰安婦問題の本質」と題した言い訳を載せた。

 吉田の言ったことはみな嘘だった。「捏造といわれなき批判があるが、
単に取材不足」で、不足分は推測で書いただけと説明する。

 それを世間は捏造というが、杉浦は気にもしない。

 そしてボスニア紛争に言及し「戦時下での性暴力は今や国際的な女性人
権問題」であり、慰安婦問題は「こうした今日的なテーマにもつながる」
「今後も朝日新聞は戦時の性暴力に取り組んでいく」と言った。

 しかし「慰安婦」はただの売春婦だ。民族絶滅とは無縁の商行為に過ぎ
ない。

 そんな言い訳をしたところにウイグル問題だ。

 支那はウイグル人の領土を侵し、民族を絶やす目的で不妊手術を施す。
民族絶滅戦争そのものだ。

 杉浦が「今後も積極的に取り組む」と約束した事態が起きた。「桜を見
る会」並みに派手に習近平非難をぶつところだろう。

 しかし支那の子会社の立場もある。といって杉浦の約束もある。

 悩んで「じゃ、不妊手術はなかったことにしよう」と削除したか。

 一度嘘をつくと後が大変だ。

出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)2月4日号
【変見自在】四文字の姑息  著者:高山 正之

高山正之氏の本紙連載が、単行本になりました。
『変見自在  コロナが教えてくれた大悪党』(定価1450円)絶賛発
売中。
『週刊新潮』 令和3年2月4日号

 

松本市 久保田 康文さん採録 

2021年01月28日

◆【変見自在】日本人は偉かった

高山 正之
  

 先日、物故した半藤一利は坂口安吾に「歴史書には嘘がある」と言われた。

 では何が真実かを求めて「歴史探偵」になったと某紙の評伝にあった。

 ただ著作を見ると彼は「探偵は虫眼鏡を持つ」イメージに拘り過ぎたき
らいがある。それと東京大空襲で「土砂降りの焼夷弾」を浴びた原体験を
持つ。

 それで「無謀な戦争を起こしたのは誰か」を虫眼鏡で追うのに一生懸命
で、非戦闘員を虐殺する米国の国際法違反は見ようともしなかった。

 例えば日本をぶち切らせたハル・ノートだ。満洲からも支那、仏印から
も出ていけとポツダム宣言と同じ要求をしている。

 それを歴史探偵は「日本が悪いから当然」と言う。

 仏印も「日本軍が横暴に押し入った」からとするが、実際は仏ドンダン
要塞が約束を破って攻撃してきた。応戦は当然だった。

 そして白人が泣いて命乞いするのを見たベトナム人が決起してハノイを
攻めて全滅した。ベトナムが独立戦争の嚆矢と見る事件だが、それには関
心を持たない。

 満洲も然り。「スティムソンが支那領という満洲で勝手した日本が悪い」

 でも満洲は清朝を建てた満洲人の故地で、長城の中の支那人はずっと満
洲人の植民地支配を受けていた。

 清朝が倒れたら「その地域は支那のもの」というのは「インドが独立し
て英国もカナダもオレのもの」というようなものだ。

 スティムソンはただ日本を潰したかった。それで蒋介石に後ろから日本
を攻めろ。褒美に清の版図をくれてやると嗾(けしか)けた。

 その空約束を口実に習近平はウイグル人やチベット人の民族浄化を今
やっている。そういう歴史の大きな流れは虫眼鏡では見えなかったのだろう。

 ハル・ノートは日本を戦争に追い込む最後の仕掛けだが、当時の英米の
陣立ても虫眼鏡は見落としている。

 例えば日本が攻めるはずのフィリピンには怪物爆撃機B17が配備さ
れ、上陸する日本軍を叩く戦車隊も陸揚げが終わっていた。

 シンガポールには英の戦艦プリンス・オブ・ウエールズも入っていた。

 そして真珠湾攻撃前夜には湾内にいた空母群が夜陰に紛れて消え去った。

 こう並べても半藤史観は「英米は良い国で日本が悪い」で変わらない。

 因みに英米の予定では真珠湾の後「B17が東京を焼き払い、英米艦隊
が聯合艦隊を沈めて日本は3カ月で抹殺される」(ノックス海軍長官)は
ずだった。

 そうならなかったのは一つに半藤が「偉大な軍人」と褒めたマッカー
サーが実は臆病ゆえに指揮を放り出して逃げ出したからだ。

 二つ目は日本軍が二等兵に至るまでこの戦いの意味を理解し、緒戦を完
璧に勝ち抜いたことにある。

 アジアの植民地から白人を追い出し、例え蘭領東印度では民に統一言語
と教育を与え、自分の国を守る心根を植え付けた。

 その代償は大きく米国は広島長崎以下六十余州を焼き尽くした。

 そんな被害を招き入れた悪い日本人は誰かだけを半藤は追及した。

 しかし日本嫌いの英歴史家アーノルド・トインビーでさえ「日本は第二
次大戦で自国を犠牲にしてアジアの民に大きな恵みを与えた」と評価する。

 「日本人は、無敵の神と思われた西洋人を彼らの目の前でひれ伏させた」

 「日本人は白人のアジア侵略を止めただけでなく植民地主義と人種差別
にも終止符を打った」

 米スタンフォード大名誉教授のピーター・ドウスも「日本が白人との戦
争でもたらした成果は市民を解放したフランス革命より偉大な人類史上の
大革命だった」という。

 『人種戦争』の著者ジェラルド・ホーンは「日本人が称賛されるのは白
人の植民地搾取に自らの血を流してまで戦ったからだ」とし、皮相な「無
謀な戦争」という見方はとっていない。

 虫眼鏡では見えない大きなスケールで日本人は生きていた。それが分か
らない人が悠仁親王にご進講していたことに驚く。



出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)1月28日号

    【変見自在】日本人は偉かった

著者:高山 正之



高山正之氏の本紙連載が、待望の文庫化!

『変見自在  トランプ、ウソつかない』(定価605円)絶賛発売中。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

松本市 久保田 康文 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2021年01月20日

◆【変見自在】医は算術

高山 正之
 
『週刊新潮』 令和3年1月21日号

 新聞記者になったのはもう半世紀以上も前になる。

 駆け出し記者の仕事はサツ回りだ。水戸支局なら水戸署に行き、殺しと
か凶悪犯罪がないのを確かめてから交通課に回る。

 交通事故は山とあり、死亡事故だけを拾って支局に電話送稿する。それ
でもかなり時間を食うほど交通事故は多かった。

 日清戦争の2年間で1万7282人の将兵が死んだ。

 対してこちらがサツ回りしていた頃は1年間でほぼ同じ数の死者が出て
いた。

 負傷者はその10倍はいた。もはや戦争状態だと誰かが言い出して「交通
戦争」という言葉が生まれた。

 我々はいわば従軍記者だったから大きな事故では現場に飛んでいった。

 子供を含む数人が死傷し、病院に運ばれるのに付き添ったこともあった。

 子供はこめかみが割れて血が間歇的に噴き出し失血で死ぬかと思った
が、医者は一瞥して別の重傷者を優先した。戻ってきて麻酔もなしで止血
と傷口の縫合をやっていた。まさに野戦病院だった。

 それが毎日、全国のどの病院でも展開され、交通事故外来は大繁盛して
いた。

 鞭打ち症とかの新分野も登場し、これも繁盛した。

 しかしそれも下火になる。人も道も車も良くなり死傷者数は往時の8割
も減って医者が交通事故で食っていける時代は終わった。

 そういう現象は実は珍しくもない。戦後すぐはベビーブームで産科が儲
けて順番で小児科も繁盛した。

 どの家も子沢山で、だからどの家も地域の小児科が掛かりつけ医だった。

 ただ人口は国力の源になる。ベビーブームを見たGHQは即座に日本に
中絶と家族計画を押し付け、出産数を半減させた。彼らの狙いは白人の
敵・日本の滅亡だったから。

 産科はあおりで潰れ、小児科も道連れにされた。

 子供が減れば掛かりつけ医もいらないからだ。今どきはちょっとした風
邪でもすぐに大病院に行く。

 ただ医者には政治力がある。何とかしろと政府に詰め寄り、厚労省は大
病院の初診料を上げてまず掛かりつけ医で診て、大きな病ならその医者の
紹介で大病院に行くシステムを目下、創っている。

 ただ交通事故外来の将来にはそういう小児科的救済はない。

 おまけに医者は昭和40年代には年間3000人しか生まれなかったが、
今どきは毎年9000人も増えている。

 倍増した医者は、では何で食っていくのか。

 恐ろしいことにGHQはそれを見越し、あの交通戦争さ中に社会党や朝
日新聞を使って弱者に優しい福祉大国日本を指導させた。

 その要が老人医療無料化だった。余った金は国防に回さず、老人に手間
を掛けろというわけだ。

 それが交通戦争後には立派に育っていた。今は国家予算の3分の1が老
人医療を中心に使われ、増える医者を余すことなく吸収し儲けさせている。

 それが凄まじい。欧米医療先進国ですら60歳過ぎれば年間500万円も
掛かる透析など高額医療は自己負担が原則だ。しかし日本はほぼすべて国
費で賄う。

 だから透析はごく当たり前で、加えて患者が植物状態になっても胃瘻で
存命を図り、心臓がだめならペースメーカーを入れる。

 昔は老衰で死んだものが、今は機械式福祉で際限なく生き続けられる。
そのための病床は世界一の130万床ある。国防力を犠牲にした成果とも
いえる。

 そんなところに支那がコロナを撒いた。清潔な日本でも今は感染者が急
増している。しかしコロナ患者に対応できるベッド数は実は3万にも満た
ない。

 全体の2%にもならないのは残りのほとんどが寝たままでもカネになる
老人が占めているからだ。

 中川医師会長は二言目には医療崩壊だと脅しては「国会議員は夜の会食
は禁止しろ」「国民は緊張感が足りない」とどやしつける。

 しかし国民の血と税で食っておきながら提供ベッドが2%はないだろう。

 緊張感が足りないのは一体どちなんだ。


高山正之氏の本紙連載が、待望の文庫化!

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

松本市 久保田 康文 

2021年01月11日

◆【変見自在】泳いで漏らさず 

        高山 正之
 

 何が好きかと問われたら二番目は温泉だと答える。

 他には人もいない朝まだきの露天風呂を独り占めして湯に浸る。これに
勝る極楽を他に知らない。

 で、極楽で何をするのか。湯船の縁に両の足首をかけて鼻をつまみ、仰
向けのまま体を湯に沈ませていく。

 温泉だと体が浮き易いから肺の空気の半分を吐き出す。湯の中に体を漂
わせた状態で今度は首を後ろにそらしていく。

 すると三半規管のなせる業か、まるで水底に吸い込まれていくような不
思議な感覚に包まれる。

 それが何とも心地いい。ただヒトの比重は水より小さいからどうしても
浮いく。息を吸ってまた潜るというか、湯中に漂う。

 そうやって不思議な感覚を十分に楽しんでから浮上していくときに不覚
にも転失気(てんしき)を漏らしてしまった。

 股間を気泡が撫でる。湯浴み客がいないことにちょっと安堵したが、そ
こで新発見があった。それまで確かに浮上していた体が逆に沈んでいくで
はないか。

 考えてみれば腸内のガスが放出されたわけだ。臭いを除けば肺から空気
を吐くのと同じ理屈になる。

 ということはヒトが見ずに浮くのは肺の空気に加えて腸内ガスも結構貢
献している証拠ではないか。

 少し前、英国の水着メーカーが不透過性で表面摩擦の小さい水着を発売
した。

 着るのが大変らしかったが、それを着た選手が五輪記録を軒並み書き換
えていった。

 1年経って国際水連はその水着を禁止した。

 問題は表面摩擦の減少ではなく、不透過性の方にあった。実は水着の中
に閉じ込められた空気がかなりの浮力を生んで好記録につながったと見た
からだ。

 日本人は白人に比して体格は劣り、胴が長い割に手足は短い。

 もっと言えば白人の顔は小さく、頭はエイリアンのように流線形をして
いる。

 対して日本人の顔は大きく、後頭部は絶壁型が多い。水の中を進むとそ
こにマイナスに働く渦ができる。

 流線形の白人後頭部に比して泳ぎでは徹底的に不利のはずだが、日本人
はそれでも結構、いい世界新を取ってきている。

 何故か。ここで温泉での新発見が生きてこないか。

 日本人の腸は白人の倍の4メートルもある。溜まる腸内ガスも倍はあるはずだ。

 日本人はスタイル的には不細工の長い胴に浮力をため込んでエイリアン
頭の白人に打ち勝ってきたに違いない。

 ただクーベルタンの近代五輪は「容姿の美しい白人の躍動美」を誇る祭
典にするつもりだった。

 しかし走りも跳躍も黒人が制し、今はジャマイカ辺りから足の速い黒人
を買い付ける羽目に陥っている。

 で、黒人には不向きな水泳を五輪に入れた。我が世の春と思ったら、今
度は山中毅が出てきた。

 コンラッズが何とか抑え込んだら古川勝と田口信教がヘンな平泳ぎで優
勝をさらった。

 白人は怒り、国際水連が即座に古川の潜水泳法も田口のドルフィンキッ
ク風の泳ぎを禁じ、今の「常に体のどこかが出ていなければいけない」
ルールにした。

 鈴木大地が背泳にバサロ泳法を入れて優勝するとそれもすぐに制限した。

 美しい白人の祭典だ。みっともない日本人は無理に勝つことはないのだと。

 それでも北島康介は出るわ瀬戸大也は出るわ。

 彼らはその辺の不思議が理解できなかった。

 もし彼らが日本の温泉に来て湯船の中ではしたなくもおならをし、その
効果を知ったらどうなるか。

 日本人選手のみっともない体型が実はそんなプラス効果を持っていた。
そしてそれが水泳では強さになっていたなんて。

 国際水連は決して黙っていないだろう。例えば有機ガスを発生し易い芋
はドーピングに当たると言い出すかも知れない。

 泳ぐ前にガスピタンを服用しろとか。或いは「腸の長さは2メートルまで」
の断腸命令を出すかもしれない。

 でも東京五輪には間に合いまい。今回はその利点で優勝を攫(さら)いたい。

 

出典:『週刊新潮』 令和3年(2021)1月14日号

    【変見自在】泳いで漏らさず

著者:高山 正之

松本市 久保田 康文さん採録 


2021年01月02日

◆変見自在】日本は小国か

高山 正之


毎度有難うございます。
毎日貴誌を拝見しながら愉しませていただいております。

今年は武漢ウイルス騒ぎで世界中や日本が揺れ動く大変な年でした。

でも世界の英知を集めて対処できるようになると確信しております。

今年の春ごろからネットの世界で話題になった和歌というか狂歌というか
次のような和歌が話題になっていました。

 しばらくは離れて暮らす 『コ』と『ロ』と『ナ』 次に逢う時君とい
う字に

コロナと共生するようになれば良いのですが。中国共産党(中共)はダ
メです。
ではまた。良いお年を!



  『週刊新潮』 令和2年12月17日号

 タイはフランスがナチに屈するのを見て1940年末、仏領インドシナ
に攻め込んだ。

 フランスに取られたカンボジアなど旧タイ領を取り返すつもりだった。

 本国からの支援は望めない状況だった。あっさり倒せるかと思ったが、
どっこい仏印軍は強かった。

 タイ海軍はコーチャン湾に沈められ、陸軍もバタンバンで仏外人部隊に
包囲されて全滅寸前だった。

 そこに割って入ったのが世界屈指の強国日本だった。仏印軍如きは鎧袖
一触、瞬時に吹き飛んだだろう。

 双方の代表が東京に呼ばれ、日本はタイの言い分を認め、仏印が奪った
領土の一部を返還させた。

 勝たせてもらったタイのピブン首相はバンコクに戦勝記念塔を建てると
ともに日本軍にタイ領内の無害通行権を与えた。

 いざ開戦となれば日本軍はタイ領を抜けて英領マレーにもビルマにも攻
め入ることができた。

 ピブンはその一方で駐米大使セーニー・プラモートに反日亡命政権を樹
立させた。日本が負けたときに備えてのことだった。

 戦後、タイはこの亡命政権のおかげで敗戦国にもならずに生き残れた。

 小国は痛めつけられながらも生き残っていく小国なりの知恵を持つ。

 李氏朝鮮も同じだ。圧倒的な白人大国露西亜と日本との戦いを前に大院
君は露に接近し、李完用は万一を考えて日本に接近した。

 結果はこすい両天秤の成果というか、李完用の用心が生きた。

 彼は日本のお人好しを見抜き、朝鮮は今後その血を吸って生きていこう
と考えた。日韓併合の奇策だ。

 かくて日本は朝鮮という巨大な住血吸虫に何年も生き血を吸われた。

 文在寅(ムンジェイン)はそれを「日帝支配」と呼ぶ。そういう詭弁も小国ら
しい知恵と言える。

 戦後、国連ができてそうした小国に日が当たり出した。大国が握るとこ
じれそうな事務総長など国連重要ポストは小国に任せるのが形になったか
らだ。

 それでビルマのウ・タントやガーナのアナンが事務総長になった。韓国
の潘基文もその小国枠で出てきた。

 そういう小国の面倒見てきた日本は先の戦争に負けたあとGHQや共産
党によって「日本人の心」までズタズタにされた。

 それでも日本は欧米の元植民地に戦時賠償金を支払い、彼らの独立を支
援した。彼らはルック・イースト政策を見るように日本を見習い、恥ずか
しくない小国として自立していった。

 日本も努力して売国が恐れた円を再建し、速やかに世界第2位のGDP
を誇る経済大国に立ち戻った。

 ただ日本人の心はまだ戻っていなかった。朝日新聞は吉田康彦に「国連
事務総長に日本人を」と書かせた。「北朝鮮は拉致などしない」と言い
張った男だ。

 そのポストは今でも小国のもののはずだ。

 彼らはそれで祖国の名を知ってもらい、ついでにポストに絡んでカネを
稼がせてもらってきた。

 潘基文が国連ビルにあるテレビを事務総長名ですべてサムスンに入れ替
えたのはその一例だ。

 そういう謂れを日本人なら心得ているはずなのに。朝日はガーナや韓国
と同じレベルで「国連事務総長ポストを日本人が取ろう」と勧める。

 どうしても日本を小国に貶めたいという社是でも持っているのだろうか。

 それで吃驚していたら産経新聞も「国連機関トップの座に人材を送り出
せ」と社説で打った。

 いまだ後進国を装う支那がICAOなど国連4機関のポストを握るだけ
でなくUNESCOやWHOもチャイナマネーに汚れた連中が占める。

 結果、虚構の南京大虐殺が記憶遺産にされたり、朝日新聞捏造の性奴隷
が国連人権委のネタにされたり。

 それが嫌だ、まともな人材を出したいという思いだろうが、国連がまと
もだったことがあるか。

 日本は拠出金を止めるとかホワイト国外しとか別の外交手段でお灸を据
えればいい。日本は小国ではないのだから



出典:『週刊新潮』 令和2年(2020)12月17日号
【変見自在】日本は小国か  著者:高山 正之

高山正之氏の本紙連載が、待望の文庫化!

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
松本市 久保田 康文sさん採録 
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2020年12月15日

◆【変見自在】他山の米国

高山 正之
 

『週刊新潮』 令和2年12月17日号


ロサンゼルス特派員の特典はハリウッド映画の試写が見られることだ。

 ただし事前に「映画芸術科学アカデミー」に登録して年間5本以上の作
品の論評を掲載する義務がある。

 ただ試写会に行っても字幕はない。周りが大笑いしても何が可笑しいの
かさっぱり分からなかった。

 そんなときハリウッドで日本の雑誌にコラムを書く女性と知り合い、代
わりに試写会を覗かせ、その解説を待って映画館に行き、論評を書いた。
「フォレスト・ガンプ」もそのころの作品で、プレスリーが登場した場面
では周りと一緒に大笑いできた。

 帰国後も彼女からときおり便りがあった。

 最後となった手紙は興味深かった。病を得て初めて生活保護を申請した
ら「手続き書類は英語のほかスペイン語、支那語、韓国語版だけ。日本語
版はなかった」という。

 異国にきて、異国の政府に世話をかける。「そんな恥ずかしい申請をす
る日本人は私が初めてかも」と便りは結んであった。

 見舞いを旧住所に送ったが返事はなかった。

 気になる最後だが、その4カ国語サービスについて調べてみたらビル・
クリントンに行きついた。

 この大統領はホワイトハウスで研修にきた女子大生モニカ・ルインス
キーと不適切な関係を持ったことで知られる。

 支那とも不適切な関係を持ち、チャイナマネーで随分と潤ったと聞いて
いる。

 彼は日本嫌いでも知られ、三菱自工など日本企業に軒並み難癖訴訟を
吹っ掛けて一方的にカネを取った。

 国内政策では民主党の新しい党是、弱者救済に血道を上げた。大学や企
業にマイノリティ枠を強いるアファーマティブ・アクションを履行させ、
陸海軍にはタブーだった同性愛者を入隊させることに成功した。

 それが呼び水になって同性婚の公認、そしてLGBTQ容認への流れが
出来上がっていった。

 ポリティカル・コレクトネスにも勢いをつけさせた。コロンブスは偉大
な冒険者ではなく先住民虐殺者だったというマイノリティ向け歴史修正の
ことだ。

 この風潮はオバマ時代に先住民虐待から意図的に黒人奴隷批判に変わ
り、南軍司令官ロバート・リー将軍の像が引き倒された。

 さらに黒人ジョージ・フロイド殺害から始まったBLM運動では独立宣
言文起草のジェファーソンの像まで破壊の対象にされた。

 学術会議が「古事記の神話はインチキ」「聖徳太子はいなかった」を吹
聴するのに似ている。

 そのクリントンが最後に出したのが「大統領令13166」だった。福
利厚生では多様な人種に対応した言語サービスをせよという内容だ。ハリ
ウッドの彼女が見た4カ国語版はその嚆矢だったわけだ。

 オバマは、日本がゆかりのない在日朝鮮人に生活保護まで与えているの
を見て米国も500万密入国者を許し、医療保護(オバマ・ケア)の対象
にする方向づけまでした。

 言語サービスも同じ。異邦人が日常生活に不便のないよう拡充させた。

 サンフランシスコ市では支那人など「かなりの人口を持つ言語少数者」
に対して「すべての部局で」支那語訳の文書を用意し、かつ支那語を話す
「バイリンガル職員の配置」を義務付ける条例ができた。

 手本は日本の地下鉄になるか。親切にも言語少数者のハングルや簡体字
を溢れ返らせている。

 おかげで米国は、もはや英語を知らなくても生活できる空間になりつつ
ある。

 実は米市民はそれに強い危機感を持つ。

 その表れに50州のうち32州で「英語を公用語とする」州法を成立させ
た。残り18州は大方が民主党知事だと思っていい。

 民主党がもたらした「祖国喪失の危機感」はトランプ氏で暫し断ち切ら
れたものの、その危機が再来する可能性は高い。

 米民主党にヘンな範を垂れてきた日本も今またヘンな先住民を創設した
り、今様道鏡が出たり。結構危ない状況なのを知って欲しい。

出典:『週刊新潮』 令和2年(2020)12月17日号

    【変見自在】他山の米国  著者:高山 正之

高山正之氏の本紙連載が、待望の文庫化!

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松本市 久保田 康文 
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2020年12月09日

◆【変見自在】今どきの学者

高山 正之
 

辻元清美は衆院議員になってすぐ「公設秘書を雇った」と言ってその給
与を懐にし続けて捕まった。

 騙し取った公金は総額2000万円。なぜかお勤めもなしで選良に復活し、
前科もない人たちを悪しざまに罵っている

 先日も予算委で学術会議問題を取り上げて「任命拒否された加藤陽子が
現在も政府の委員に任用されている」と指摘した。

 同じ政府が一方で不適格者、もう一方で得難い有識者として遇する。

 「矛盾していないか」と首相を詰(なじ)っていたが、その正否はともか
く辻元の指摘は実に興味深い。

 「学者」という言葉にはあるイメージがある。

 麻布小学校時代の同級生にサトウ君がいた。物静かで頭がよく、シニカ
ルなことをぽつりと言う。

 家は今の溜池森ビルがある辺りで、昔は昼でも暗い柳段々を下ったごみ
ごみした一角にあった。

 侘しい庭から見える書斎にはいつも彼の父が机に向かい本を読んでいた。

 仕事は「学者だ」とサトウ君は言った。

 いつも机に向かっていたから顔は見たことがない。サトウ君と同じに物
静かで頭がよさそうだった。

 見えなかった顔は教科書にあった夏目漱石の顔を勝手に嵌め込んで自分
なりに「学者」のイメージを作り上げた。

 新聞記者になってもそれは変わらなかったが、そのイメージをひっくり
返す事件が起きた。

 朝日新聞が「これが毒ガス作戦」と灰色の煙がもくもく立ち昇る写真付
きの記事を載せた。

 毒ガス第一号は独軍のイペリットだ。地を這い塹壕に流れ込んで仏兵を
殺した。やや黄色味を帯びていたが、本来の毒ガスは無色無臭で空気より
重いのが形だ。

 だから「煙もくもく」はありえない。おかしいと思ったが、記事に一橋
大教授の藤原彰が「毒ガスだ」と太鼓判を押したとある。

 偉い学者がそう言う。大方の人は首を捻りながらも納得した。ただこの
とき産経新聞にはいい記者石川水穂がいた。それが煙幕で藤原彰が嘘をつ
いた証拠を掴んで記事にした。

 日本人は人を信じる。新聞を疑わない。学者は清貧で物静かで頭がいい
と信じている。

 朝日はその心理を逆手にとった。心無い学者と結託し自虐史観の嘘を振
りまいていたのだ。

以降、朝日に出てくる学者はまず疑ってみるようになった

 ヘンな学者はすぐ見つかった。早大の後藤乾一は「日本軍がスマトラで
土民数千人を底なし穴に突き落とした」とか東ティモールで「島民5万人
を殺した」とか書いていた

 両方とも大嘘だった。

 朝日が「日本軍の慰安婦強制連行」の嘘を拵(こしら)えると中大の吉見
義明は「軍の関与」を言い出して尤もらしく見せるために協力した。

 法制の山口二郎はあの悪夢の民主党政権のブレーンだが、その政権前後
に6億円の科研費が出ていた。

 杉田水脈(みお)がそれを指摘すると朝日は水脈叩きを始めた。学者と新
聞の絆を見せた瞬間だった。

 因みに山口の口癖は「安倍。お前は人間じゃない。叩き切ってやる」
だ。清貧でも物静かでもない。

 山口はこちらが小学生のころから育んだ学者のイメージを根底から覆した。

 しかし最も日本人らしい俗物、自民党議員は学者への幻想を崩していない。

 船田元は衆院憲法審議会参考人に早大の長谷部恭男を推薦した。実は朝
日の子飼いでマッカーサー憲法万歳派とも知らずに。

 案の定、安倍政権の「安保法制は違憲」とやって船田は大恥をかいた。

 小泉純一郎も皇室問題の有識者会議座長代理に園部逸夫を置いた。彼も
また自虐史観塗(まみ)れで「在日に参政権を」と傍論に書いている。

 彼の結論は「女性天皇を認めないのは女性蔑視だ」だった。日本の歴史
も天皇家 が何かも知らない。

 今の学者に昔の学者の矜持は期待できない。

 そんな連中が政府の委員会を占めるという辻元の指摘を生かしたい。


『週刊新潮』 令和2年12月10日号

高山正之氏の本紙連載が、待望の文庫化!

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松本市 久保田 康文さん採録 

2020年12月07日

◆【変見自在】学術会議の役目

高山 正之
  

『週刊新潮』 令和2年12月3日号

京都御所の御用を務める彫刻家、堀田瑞祥(ずいしょう)は帝も感嘆す
るいい仕事をしたと高等小学校読本にある。

 瑞祥は明治維新後もいい仕事をした。

 その時代、艦船は木造から鉄の時代に変わっていったが、ついでに船底
を蝕む錆という難題も生まれてきた。

 瑞祥は漆が錆をよく抑えるのを知っていた。

 漆を素材に防錆を試して明治18年、堀田式錆止め塗料を世に出し、日本
の特許第1号となった。

 その効能を最初に立証したのは露巡洋艦ドミトリードンスコイだった。

 新鋭艦なのに錆に泣かされ、たまたま寄港した日本で瑞祥の話を聞いた。

 藁にもすがる思いで塗ってみたら効果は抜群だった。艦齢も延び、17年
後の日本海海戦にバルト艦隊の主要艦の一隻として臨めた。

 この海戦、露側の圧勝が囁かれていた。なぜなら当時の戦艦は西欧が独
占製造し、露は仏から戦艦ツェザレウィッチを買い、それをモデルにボロ
ジノ、スワロフなどを建艦した。

 日本も欧州製を買っていたから日露ともに戦艦の性能はほとんど互角
だった。

 ということは日本の3倍の戦艦数を持つロシアが圧倒的に有利だった。

 それをどう覆すのか。

 下瀬雅充(しもせまさちか)は敵の砲弾の3倍の破壊力を持つピクリン酸
炸薬を考えた。

 ただそれは鉄に触れた途端、爆発する。鉄の弾頭にどう封じ込めるか。

 下瀬はそこで瑞祥の漆を思い出し、弾頭内部に漆を塗ってみた。下瀬火
薬の発明の瞬間だった。

 旗艦スワロフ以下の露艦隊は対馬沖で日本艦隊が放つ砲弾を初めて見
た。「砲弾は艦隊のどこかに触れただけで深紅の炎を噴き出し全てを焼き
尽くした」(プリポイ「ツシマ」)。

 鋼鉄の装甲を施したオスラビアが燃えて沈み、スワロフは鉄屑と化した。

 ドミトリードンスコイもまた深紅の猛火に包まれて鬱陵島沖で自沈した。

 日本人は強力で無慈悲な白人国家の侵略を自分たちの知恵と工夫で防いだ。

 日本はその後も世界が驚く知恵を次々披露した。

 原子構造について欧米では電子と陽子が「まるで小豆ご飯のように入り
乱れて存在する」と思っていた。

 長岡半太郎は日露戦争のころ「土星とその輪のように陽子を中心に周辺
を電子が回っている」とした。

 大正期、八木秀次(やぎひでつぐ)は超短波用指向性無線アンテナを考案
した。

 昭和初期、高柳健次郎はブラウン管を使った映像受信に成功した。最初
に受信した映像は「イ」だった。

 同じころ武井武は非金属磁石フェライトを発明して特許を取った。鉄で
ない磁石は例えば録音テープも可能とした。

 白人たちは日本人の知恵をすぐに盗んだ。

 ラザフォードは長岡理論を追認することでノーベル賞を受賞した。

 八木の知恵は英米が即座に軍用レーダーにした。

 高柳のテレビは米軍が誘導ミサイルの目にした。

 フェライトは戦後のどさくさに戦勝国オランダのフィリップ社が横取り
した。この技術で今のステルスが可能になった。

 民間の技術を軍事に転用するのをスピン・オンと言う。この一連の「盗
んで軍事転用」はさしずめスティール・オンになるか。

 そんなコソ泥米国が先の大戦前、核分裂についての論文の発表を突然止
めた。

 日本では1グラムのウラン235が臨界点を超すとTNT1万3500トンの爆発力
を持つのを知っていた。

 仁科芳雄(にしなよしお)、湯川秀樹らが研究を始め、濃縮用のフッ化ウ
ランも作った。

 鴨緑江に70万キロワットの水豊ダムが完成したから、その気なら核兵器はで
きた。

 しかしそんな悪魔の兵器をいかな米国でも使うとは思えなかった。開発
は遅れて先に広島に原爆が落ちた。

 科学者が白人の心根を持っていたら日本はとっくに核を持てた。そうな
れば米国は報復を恐れ、広島には落とさなかっただろう。

 米国は戦後、日本人にずば抜けた科学する心を学術会議によって封印さ
せた。

 学術会議の言う平和は「白人の平和」なのだ。


高山正之氏の本紙連載が、待望の文庫化!

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松本市 久保田 康文 
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