2022年02月10日

◆なぜロシアと欧米は対立しているのか


目前に迫る「ウクライナ侵攻」回避のシナリオと金融市場への影響=高島康司


ロシアはすぐにでもウクライナに侵攻するのではないかと、世界中のメ
ディアが書いている。しかし、ロシアがここまでウクライナ執着するのに
は合理性があり、また米国内では意見が二分しているため、最終的にはバ
イデン政権は妥協を強いられることになりそうだ。(『未来を見る!
『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)


ロシアは本当にウクライナに侵攻するのか?
ロシアのウクライナへの軍事侵攻と、欧米の介入の可能性について解説し
たい。

いま欧米や日本の主要メディアでは、ロシアのウクライナへの軍事侵攻の
可能性は極めて高く、下手をすると侵攻は時間の問題ではないかとする報
道が多くなっている。

ロシアはウクライナとの国境に10万人から12万7,000人の軍を展開し、盛
んに演習を実施している。ウクライナへの圧力だ。また、地中海ではアメ
リカ、イギリス、フランスの空母を動員した軍事演習が予定されている。
一方ロシアもこれに対抗し、同じ地域でロシア海軍の演習を計画している。

そうしたなか、24日、米国防総省はウクライナ周辺の東欧地域に最大
8,500人規模の米軍を派遣する準備に入ったと明らかにした。軍事侵攻が
あると「北大西洋条約機構(NATO)」は4万人の即応部隊を派遣するとし
ているので、米軍はこれと一緒に行動することになる。

また25日、米バイデン政権は、ロシアのウクライナへの再侵攻があれば厳
しい経済制裁を発動するとした。それは、半導体などのハイテク製品を想
定した輸出規制、ロシア産天然ガスを排除する資源規制などだ。

バイデン政権は、こうした経済制裁の発動でロシアは収入を得る機会を失
い、ロシア経済は脆弱になると見ている。

ウクライナ問題の金融市場への影響
しかし、このような経済制裁の発動は、ロシア経済に影響するだけではな
い。ロシアはエネルギーや鉱物などの資源大国で、また食料の生産でも無
視できない世界シェアを持つ。ロシアが逆に欧米に対して経済制裁を発動
すると、ロシア産資源の供給が細り、世界的な生産活動に大きな影響が出
る。以下がロシアが握る資源の世界シェアだ。

・天然ガス:17%
・原油:11%
・パラジウム:42%
・ニッケル:11%
・小麦:11%

これを見ると、もしロシアが欧米に対して報復の経済制裁を発動し、これ
らの資源を禁輸すると世界経済は大変な影響を受けることになる。

特にヨーロッパは、天然ガスの消費量の約30%がロシアに依存している。
ロシアのウクライナ侵攻が起こると、ヨーロッパの天然ガス価格は3倍に
なる可能性がある。事実、24日には前週末比で一時的に19%上昇した。日
本のロシア産ガスの輸入割合は10%程度だが、ロシアからの輸入が滞れば
中東産などの奪い合いになり、日本が買い負けるリスクがあるとも懸念さ
れている。

このような影響を警戒して、金融市場も大きく落ち込んだ。24日のヨー
ロッパ株は4%安と急落した。さらに翌25日には、日経平均株価が5カ月ぶ
りの安値を付け、米ニューヨークダウも一時800ドルを超えて下げた。ま
た、最近は株式相場との連動を強めている暗号通貨も大きく下落した。
ビットコインなどは半値にまで落ちた。

Next: そもそも、なぜロシアと欧米は対立しているのか?
       



            
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◆河井夫妻の買収事件は終わらない。

検察審査会が「81人差し戻し」の必然:石川ともひろ

河井克行、河井案里夫妻の大規模買収事件では、被買収側の地方議員や後
援会員計100人が不起訴になっていましたが、検察審査会は35人を「起訴
相当」、46人を「不起訴不当」とし、検察に再捜査を命じました。「不起
訴相当」となった19人と合わせどんな違いがあるのか、メルマガ『石川と
もひろの永田町早読み!』著者で小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院
議員の石川知裕さんが解説。自殺未遂に独白本『おもちゃ』上梓と、世間
を騒がせ続ける河井案里氏に、この“終わっていない事件”の真相を明らか
にすることを求めています。


「自称・おもちゃ」河井案里事件はまだ終わっていない
河井案里・前参議院議員が自殺未遂をした。親族に「さようなら」と連絡
した後、睡眠薬を20錠ほど飲み自殺を図ったという。幸い命に別状はな
かったが、辞職してもなお、お騒がせな方である。自殺を図るなら、広島
での巨額買収事件の真相を明らかにしてほしい。

先日、この買収事件に至るまでの河井案里の半生を描いた本が上梓され
た。タイトルは『おもちゃ』。河井案里自身がこの本の著者に宛てたメー
ルの中で、自己の存在を「おもちゃ」と表現し、それがそのまま本のタイ
トルとなった

2019年夏の参院選。ときの安倍総理が、かねてからの仇敵である溝手顕
正・参議院議員を落とすために放った刺客が案里だった。しかし、案里か
ら見れば、結果的に自分は永田町の権力者の「おもちゃ」でしかなかった
という意味だったのだろう。「政治家は使い捨て」と小泉純一郎氏は喝破
したが、案里の「おもちゃ」という受け止め方も面白い。

河井克行、河井案里夫妻による事件は、まだ終わっていない。

2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件。河井克行元法相
(58)=実刑確定=らから現金を受け取ったものの、公選法違反(被買
収)罪で不起訴処分になった地方議員や後援会員ら計100人について、東
京第6検察審査会は28日までに、広島県議や広島市議、後援会員ら35人を
起訴すべきだとする「起訴相当」の議決をした。既に辞職した市町議や後
援会員ら46人については再捜査を求める「不起訴不当」と議決し、検察が
捜査に乗り出す前に現金を自ら返却していた県議や後援会員ら19人につい
ては、不起訴を妥当と認める「不起訴相当」と議決した。議決は昨年12月
23日付。(中国新聞デジタル)

河井夫妻から現金をもらいながら不起訴とされた地方議員や首長、後援者
たちが検察審査会で起訴相当もしくは不起訴不当とされたのだ。

検察審査会は現金をもらった者を、以下の3段階に分けた。

1.現金を受け取った後も地位に居座っている者
→起訴相当
→検察審査会が再度「起訴相当」と判断したら強制起訴(問答無用で裁判)

2.現金を受け取った後、辞職した者
→不起訴不当
→検察が再捜査し刑事処分を決める(もう一回捜査を尽くさせる)

3.現金を受け取ったがすぐに返金した者
→不起訴相当(許す)

通常、10万円以上もらえば選挙違反で立件される。だが、今回はあまりに
も金をもらった人数が多いので、検察は不起訴とした。しかし、検察審査
会は厳しい判断を下した。この事件はまだまだ続くのである。

『おもちゃ』の著者・常井健一氏は、拙書『悪党小沢一郎に仕えて』の構
成を手がけてくれたノンフィクションライターである。今回の本は、案里
の半生と広島県政界、そして永田町へと波及する力作だと感じた。是非と
も読んでいただき、あの事件は何だったのかを振り返ってみてほしい。
     
        
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◆ 二月中旬、ロシア15万人兵士

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月7日(月曜日)弐
     通巻7210号 
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 二月中旬、ロシア15万人兵士、ウクライナ侵攻へ準備完了になる
  原潜部隊も英国沿岸から米国沿岸へ、カムチヤツカの原潜は太平洋へ
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 準備完了、開戦は時間の問題となったのか。
米軍高官は「もしロシア軍のウクライナ侵攻があれば、軍民あわせて5万
人、ロシア側も1万人が死に、キエフは二日で占領されるだろう」と不気
味な予測をなした。
これに加えてNYタイムズ(2月5日)は、500万人の難民が発生する、
と暗い予測を報じた。

 サリバン大統領補佐官は「いつでもウクライナ侵攻は起こりうる」と戦
闘の可能性が極めて高いことを示唆し、また別の軍事専門家は、「侵攻が
近くなるとロシアのサイバー攻撃が本格化し、ウクライナ国内でも騒擾な
ど攪乱行為が親露派の工作員によってなされるだろう。ゼレンスキー大統
領暗殺を含むクーデター計画もある」とする。

 ロシアはウクライナのNATO加盟がないと確約するなら撤兵の用意が
あるとしているが、ウクライナ国民の戦意は高い。ゼレンスキー大統領も
「西側の反応は大袈裟、かえってロシアを刺激する」と米軍高官らの脅威
的な発言に注意を喚起している。
 バイデン政権は武器弾薬、新型砲など、およそ2億ドルの武器援助を決
め、キエフへ緊急輸送した。キエフでは戦闘軍事訓練が日夜行われている。

 しかし西側はロシア空爆に踏み切るだろうか?
 ロシア全土には16270ケ所に防空壕、とくに特殊仕様の地下シェル
ターはモスクワに250ケ所。サンクトペテルブルグは駅のとなりにシェ
ルターを新設中だ。
 モスクワには強靱な地下要塞スターリン・バンカー、メトロ2などのほ
か、ラメンチ43など2500の防空壕がソ連時代に構築されている。こ
れらがいつでもシェルターに転用可能という。政府建物、官僚街を中心に
西側の空爆、ミサイル攻撃に備える。

なかには1500名を収用できるシェルターもある。
まさに「備えあれば憂いなし」。

 また陸上ではウクライナの四周を現在(2月7日)、10万人の兵力で囲
んだが、二月中旬には15万人となりフルスケールの侵攻作戦が可能とな
る。米国は制裁をかけるとプーチンを牽制している。
マクロン(仏)大統領は今週、モスクワとキエフを訪問し、戦争回避の仲
裁を続ける。

 米軍は82空挺団から1700名がポーランドのウクライナ国境に近い
基地に到着、300名がドイツへ。そして在独NATOの米兵1000名
がルーマニアに移動した。ポーランド南部はウクライナと、北部はベラ
ルーシは国境を隣接し、ルーマニアはウクライナ西側のオデッサと至近距
離だ。


 ▼習近平が囁いた。「北京五輪が終わるまで攻撃はひかえてくれまいか」

 呼応してロシアの潜水艦部隊が動きはじめた。
 英国海峡周辺を遊弋していたロシア原潜が英国沿岸を離れた。米国沿岸
には多くのロシア原潜が出没しはじめ、16隻の原潜が確認されていると
いう。
それぞれ10発の多弾頭ミサイルを装備しているので、160ケ所をミサ
イル攻撃できるうえ、原潜基地をキューバとベネズエラとする動きがある。
 カムチヤツカ半島のビルユチンスキー基地などからもロシア原潜
955A、949Aなどが出港し、太平洋に向かった。

 北京五輪開会式にプーチンは特別機で駆けつけ、貴賓席でぼつねんと居
眠りをしたとか。だが、2月5日に中露首脳会談が開催され、「共同声
明」が発表された。
 注目点は第一に「中露両国の友好関係は無限だ」としたこと(無限は日
本語では夢幻だが)、第二に「西側の考え方は冷戦メンタリティであっ
て、時代錯誤。アーカス(AUKUS)は太平洋の平和を乱し持続可能な
安定に障害となる」などと、脅威の裏返しが文言となっていること。
 第三がもっとも重要で「新パイプラインを増設し、向こう三十年間、毎
年100億トンのガスを中国へ輸出する契約に署名した」としていることだ。

 英誌『エコノミストl』(1月29日電子版)が報じた。
「習近平が囁いた。『北京五輪が終わるまで攻撃はひかえてくれまいか』と」

 NATOがウクライナ参戦に踏み切れないのは、生命線のガスがロシア
から供給されていることであり、ドイツがもっとも弱腰である。なにしろ
シュレーダー元独首相はロシアからのガス海底パイプラインを運営する
「ガスプロム」の社外重役に指名されているうえ、ロシア最大の「ロフネ
フチ」会長を兼ねる。

 米軍は近隣諸国に軍を配置し、武器をウクライナに供給したが、実際の
戦闘が起きても参戦はしないだろう。プーチンは明らかに、そのことを読
んで、ぎりぎりのチキンレースを展開していると見て良いのではないか。
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読者の声  どくしゃのこえ   READERS‘ OPINIONS
  ☆ 
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(読者の声1)中共の取潰し延命政策とは
(1)ご破算政策
 今「中国牛鬼蛇神録」を読んでいるが、その中である囚人が著者に興味
深い歴史の故事を語る。それは明朝を作った朱元璋が権力を握ると元朝時
代の富豪を取り潰したことで、この囚人はこれにより、新しい政権は二、
三百年は権力が維持できたと分析している。それが現在の習近平の既存財
閥取り潰し政策なのではないか。そして毛沢東時代の貧困時代に戻そうと
しているという。個人独裁の延命のために国民経済をご破算にするという
思想だ。
 (2)毛沢東のご破算
毛沢東政権も既存経済を破壊した。毛沢東の死後政治事情が分かった今、
中共運動が宣伝通りの共産主義運動であったと思う人はいないだろう。そ
うではなく、明朝の朱元璋と同じ流賊(大盗賊団)の政権であった。明の
朱元璋は白蓮教を奉じた紅巾の賊出身である。毛沢東はMX主義を奉じた共
産匪賊出身である。もちろん共に思想は利用しただけだから、朱元璋は白
蓮教の教祖を殺している。毛沢東もソ連派の党の先輩を追放している。
(3)二元論で妥協がない
 中共の統治を見ると、政治の基本である妥協がない。敵か味方の二元論
対立である。だから絶えず闘争をする。闘争の種が尽きると政権が維持で
きないと考えているのだろう。したがって中共の統治は極めて野蛮残酷で
日本とはまったく価値観が違う。そして今も活火山状態だ。したがって日
本は国防を第一とし、結論としては核ミサイル搭載潜水艦隊の建設を急が
なければならない。
   (落合道夫)

  ♪
(読者の声2)「石原慎太郎:反中反美亦反現代日本的右翼狂想」という長
い分析記事が、華字紙にでています。これまでの中国批判の履歴から三島
由紀夫との交遊にまで言及しており、敵ながら、よく石原政治を分析した
中国人がいるものと感心するくらいです。
 以下は「多維新聞網」の文章です
at 10:21 | Comment(0) | 高島康司

2021年11月25日

◆日本のコロナ急減に世界が注目

高島 康司

ウイルス自己崩壊説も次の変異株と「第6波」に要警戒

世界でまだら状に広がるコロナパンデミック
日本を新型コロナウイルス「第6波」が襲う可能性について解説したい。

いま、新型コロナウイルスのパンデミックの状況は、世界の国々でまだら
模様の状態になっている。

例えば、韓国では7月上旬に首都圏を中心に流行の「第4波」が始まり、新
規感染者数は106日連続で1,000人を超えている。

またロシアでは、9月から感染者が急増し、14日以降は毎日3万人以上が新
たに感染。20日の死者は過去最悪の1,028人にのぼった。政府によると、
コロナ患者用の病床は全国27地方で90%以上が埋まり、一部では95%を超
えている。

さらにイギリスでは、この1週間で感染者数が16.1%増加したことから、
コロナウイルスの動向に対する懸念が高まっている。英国の感染率は人口
100万人あたり620人で、近隣の西ヨーロッパやスカンジナビア諸国の約6
倍にもなっている。

イギリスでは、他の国に比べ、かなり早い段階で規制を解除したことが感
染再拡大の原因だと見られている。例えばデンマークでは、人口100万人
あたりの感染者数が90人前後で推移しているときに規制を解除したが、イ
ギリスでは、感染率が670人に達した時点で規制を解除している。

社会活動のあまりに早い正常化が、新たな感染拡大を招いたようだ。

なぜ日本では急速に減少したのか?
そうした状況のなか、感染が急速に収束しつつあるのが日本だ。

東京都の感染者数はピーク時だった8月の50分の1まで減少し、毎日の感染
者数は3日連続で50人を切っている。19日は36人だった。また全国の感染
者数も372人となった。これは2万6,000人を越えていた8月28日と比べて70
分の1だ

この感染者数の急速な減少は、多くの専門家の予想を越えている。

いま、この急速な減少の原因が議論されている。政府はワクチン接種の拡
大や行動規制の効果が現れた結果だとしているが、これではこの急速な感
染者数の減少の説明にはならない。

それというのも、今回のパンデミックには、それぞれ異なった変異株が主
導するいくつかの感染の波があり、それらは時間が経つと勝手に収束して
いたからだ。

日本でワクチン接種が始まったのは4月からだが、すでにそれ以前の時期
に、第1波から第3波までの波は拡大と収束を繰り返していた。

ワクチンには、感染したときの重症化リスクを抑える高い効果がある。事
実、日本の死亡率は5%近かったピーク時から、いまは1.06%に低下して
いる。死亡率の急速な低下は、ワクチン接種が進む他の国々でも同様だ。


しかし、イギリスやアメリカのように、ワクチン接種が拡大しているにも
かかわらず、感染者数の増大が止まっていない国も多い。ワクチンは重症
化リスクの低下には大きな効果があるものの、感染拡大を止める効果は
思ったほどないというのが現実のようだ。

このような事実から見ると、「デルタ株」が主導する第5波の急速な収束
の原因は、ワクチン接種の拡大ではないことになる。原因は別にある。


   
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◆始まっていた45歳定年制
今市太郎

上場企業の早期希望退職者2年連続1万5000人超、若手と専門職以外はお払い箱


すでに始まっていた「45歳定年制」
今年の9月、サントリー社長の新浪剛史氏が突然に「45歳定年論」などを
ぶち上げたことから、ネットで猛烈な炎上が起きたのは記憶に新しいところ。

先頃に東京商工リサーチが発表した2021年の上場企業の早期・希望退職者
募集人数を見ていますと、その件数は新浪氏を批難すれば済む話ではな
く、リアルな上場企業の雇用状況の中でも、本当に「45歳定年」が現実の
ものになろうとしていることが見えてきております。

運よく正規雇用の座を確保できたサラリーマンといえども、その賞味期限
は新卒からせいぜい20〜23年に迫っている。

そのことを、相当によく考えるべき時代に突入していることを痛感させら
れます。

上場企業の早期希望退職者数は2年連続1万5,000人超え
新型コロナウイルスの爆発的感染で経済が急ブレーキとなった昨年のこの
時期、上場企業の早期希望退職者募集人数は73社で1万5,642人に及びました。

今年も10月末までの同様の募集人数は72社で1万4,505人となっているよう
で、巷ではかなりコロナ禍から回復したように見えるものの、実際の雇用
環境はまったく改善していないことがわかります。


募集人数のベスト5は、コロナ禍の影響で販売不振のアパレルや運送、交
通インフラ、観光関連のサービス業など、明らかにコロナのために雇用人
数を絞らざるを得ない厳しい業界が増えていることが見えてきます。

ただ、その一方で、本田技研工業、パナソニック、近鉄グループHDなどは
必ずしもコロナとは関係なく雇用者数の粛清を進めているようで、募集人
数すら開示していない状況です。     
       


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◆クアッドに東南アジアの死角

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)11月22日(月曜日)
通巻第7125号  <前日発行>

 インド・太平洋に突き刺さる中老鉄路は「漢族の熱帯への進軍」
  クアッドに東南アジアの死角。ラオス、カンボジアは中国の植民地だ

 米豪日印のクアッドに「死角」がある。
中国とラオスのビエンチャンを結ぶ新幹線が開通した(中老鉄路=「老」
は中国語でラオスの意味。正式開通式は12月2日)。ラオス北部のボー
デンからビエンチャンまで414キロ。途中古都で王宮跡のある観光地=
ルアンパバンなど33駅を通過し、時速120キロで、橋梁箇所が
167,トンネルは75という難工事、総工費70億ドルは中国が融資した。

将来は、ビエンチャンからタイへ延長し(ビエンチャンの対岸はタイのノ
ンカイだ)、バンコクまで繋がると、雲南省のシーサンパンナから直通特
急が走ることになり、東南アジアの裏通りが中国主導「一帯一路」の目玉
となる。タイもいまや「中国経済圏」で人民元が流通している。

三年前、ラオス北端のボーテン(磨丁)まで取材にいった。すでにマン
ションが林立し、大型トラックが渋滞し、カジノホテルと免税ショップの
ビルができていた。中国鉄道建設の現場は活況に満ちていた。マンション
の販売広告は、なんと売値が人民元建てだった。

しかも渋滞の長距離トラックのナンバープレートをみると遼寧省、黒竜江
省、吉林省からはるばるラオスへ出稼ぎに来ていることが分かった。現地
の食堂でも、中国人労働者が混じり、昼からビールを飲んでいたっけ。
ボーデンの地元はアカ族、モン族が多い。

 中国はラオスとカンボジアを事実上の「植民地」とした。カンボジアの
シアヌークビルには中国資本のカジノホテルが50棟、ホテルは殆どが華
僑経営、高層マンションが林立している。ここは何故か重慶からの出稼
ぎ、もしくは移民だ。

首都プノンペンのマンションも90%は華僑資本、なかには華僑の子弟が
通う「インタナショナルスクール」もある。
 イオンが大きなショッピングモールを繁華街に店開き、近くには高層の
東横インもあるが、その高さを遙かに凌ぐ中国系タワマンが周囲を埋め尽
くしていた。レストランに入っても、飛び交うのは中国語である。

 なぜこうなったか?
 華僑研究の第一人者、樋泉克夫(愛知県立大学名誉教授)が次の分析を
している。
 「天安門事件の後遺症に苦慮した共産党政権は、南方に広がる国境関門
を開放し、雲南省を橋頭堡に東南アジア内陸部へ進出──歴史的に表現する
なら『漢族の熱帯への進軍』を再始動することで、苦境からの脱出をは
かった」(『週刊新潮、21年11月25日号)。

 そのうえ、ラオスは雲南省華僑が早くから進出していてチャイナタウン
があった。
 カンボジアは国民感情として、中国よりベトナムが嫌いなので、早くか
ら華僑の移住が目立ち、キリングフィールドでは夥しい華僑が血の犠牲に
なったあとでさえ、中国は寧ろ積極進出を繰り返していたのだ。このよう
な過去の経緯と華僑の強い地盤があって、中国は影響力拡大に力を集中し
てきたのである。

 この東南アジアにおける中国の事実上の経済植民地化という現実が、欧
米の安全保障議論では軽視されている。
「クアッドの死角」と言えるだろう。

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)22日午後四時からの「宮崎正弘の生インタビュー」は生
番組です。60分のうち、後半の18分に視聴者の質問コーナー、その場
で回答があります。
 今回のゲストはカナダ在住の近現代史家、渡邉惣樹氏。テーマは「激変
するアジア、日米関係を読み解く」。
 22日午後四時〜五時。未来ネット(旧「林原チャンネル」)です。
 後日、ユーチューブ配信があります。
   (未来ネット)
  ♪
(読者の声2)貴誌前号で(浪速の草莽)様の「EVを絶賛されている方
がおられます。カーボン・ニュートラルが地球温暖化を防いで人類を救
う、と考えてもおられるご様子。、、、あまり独善的にならずに客観的に
物事を眺めたいものです」
というご意見。
 私見によれば、全ての意見は主観的。科学的な「客観的な真実」も時代
が進むと、間違いだった、という例が多い。CO2の問題にしても、科学者
の間で議論
があり、私見によれば現在のCO2の濃度は少なすぎ、多い方が生物、食料
生産のためには有利になる。温暖化に関しても甚だ疑問的であり、地球の
長期の歴史を見ると、ほぼ10万年の氷河期があり、ほぼ1万年の間氷河
期、つまり現在のような暖かい時代が、交互に現れている。1.3万年前に
氷河期が終わったので、これからは冷たい長い10万年の冬を迎えることに
なる、というのが科学的には最も信頼できると思う。
EVについては、以前に何べんも投稿したように、その多くの利点故に、既
に非可逆的な世界的な傾向になっている。テスラとトヨタが再び提携し
た、というニュースも昨日聞いた。
「インテル、入ってる」という宣伝文句があり、世界のほぼ全てのコン
ピューターの中にインテルのCPUが入っていた。
トヨタが屋根、窓、ドア、家具を作り、テスラがその他という分業化にな
るかも。水素については、気体を固形化する技術があるらしく、電池との
競合になるかもしれないが、いずれもEVとなる。
(在米のKM生)

  ♪
(読者の声3)貴誌通巻第7124号(読者の声1)の「浪速の草莽様」の御
投稿についてですが、「EV論争」の御意見の発表が、単に「EVを絶賛され
ている方」への揶揄、悪く言えば「オマエの母ちゃんでべそ」的な悪口に
なって残念です(尤もそれ自体が目的なら腑に落ちる、苦笑)。
それは、「どう思うと自由なんですが」や「あまり独善的にならずに客観
的に物事を眺めたいものです」という文にも如実に表れている。御自分で
も「浅学非才のわたしが自分なりに学んで」とおっしゃる訳ですから、何
を如何なる視点で、どういう風に学ばれたかという内容を具体的に書かれ
たら如何でしょう。
その方が、「宮崎師のいわれる、EVと(イーロン)マスクは高転びにこけ
るだろう、です」という借り物の言葉よりはるかに説得力があると思われ
ます。EVが次世代の移動手段の支配的地位を占めるかは、読者欄でも活発
な意見の応酬、あるいは感情的にも見えるやりとりと言うか、一方的主張
の交差もあり、以前気になっていたので敢えて指摘させて頂きました。
 EV主流化予測については、内容を分けて考えた方が良さそうです。気候
変動の観点、技術革新の観点、経済的合理性の観点、資源開発及び争奪の
観点、国際政治の面妖さの観点、などと並列に並べましたが肝は気候変
動、つまり「地球温暖化」とその原因として「人類の経済活動による二酸
化炭素排出」との因果関係の有無です。
と言うのは、そもそもこの因果関係に著しい有意さが認められなければ、
ガソリン車やハイブリッド車を現状のまま使い続ければ事足りて水素でエ
ンジンを動かす必要もない。
 現在、「地球温暖化」と「人類の経済活動の二酸化炭素排出」の因果関
係が恰も証明された事実であるかに語られますが、これは嘘とは言わない
までもただの仮説に過ぎない。
すると、「世界各国の権威ある専門家がそう言ってる」と聞こえそうです
が、二年近くの新型コロナウイルス感染症の流行に於いても最高の専門家
達が、実は全く何も分かってない実態を目の当たりにしたのはおらだけで
ない。元々マスクにコロナウイルスの感染予防効果は無いと断言したの
は、トランプでなくWHOのテドロスだ(苦笑)。
 具体的に斬り込むと、確かにこの二・三十年は世界の他地域同様に日本
各地で平均気温の上昇が続いている。
そこだけ見れば「地球温暖化説」に納得する。ただ、地球は誕生以来の50
億年間に気温は一定だった訳で無く、「南極大陸や北極海に全く氷の無い
温室期」と「気候が寒冷化し地表と大気の温度が長期に亘り低下する氷河
時代」が約一億年単位で来る。さらに氷河時代の中でも「寒冷な氷期」と
「比較的温暖な間氷期」が千万年単位で「何もしなくても自然に繰り返さ
れる」のである。現在は間氷期にあたりいずれ氷期に戻る。「地球温暖
化」など真面目に心配しなくともいずれ皆氷漬けになる運命なのである
(爆笑)。
 そんな事を言っても、千万年単位の変化を待つ訳にいかないと言う生真
面目な方々も居るかもしれない。
数か月前の、みんな大好き朝日/ちょうにち新聞には、元々酸素に覆われ
ていた温暖な金星の地表が二酸化炭素増加の為に灼熱地獄と化したと、地
球温暖化仮説強化プロパガンダの為の我田引水記事が掲載された(腹笑)。
そもそも太陽系上の金星の位置と地球の位置は違うでしょ、で瞬殺(抑
笑)。そんな心配性の方々の為に、ユダヤの神エロヒム(英語名ゴッド、
アラビア語名アッラー)は「神の怒り」である地球規模の大噴火を約百年
単位で勃発する様に用意しているのである(泣笑)。その規模の噴火が起
ると地球全体の温度が一気に、しかも長期間に亘り下がるので農作物の不
作が続き餓死者が続出する事の方がむしろ懸念される。
そもそも気象観測の記録はたかだか百数十年分しかない。それで、たまた
ま短期的に気温が上がった、下がったと言っても、地球規模で言えば誤差
の範囲でしかないのである。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200616/se1/00m/020/016000c
 
 次に技術革新の観点であるが、IT産業との関連から、EVや空中ドローン
の類はある程度は発展を続けるのではないだろうか。仮にイーロン・マス
ク個人が「高転びにこける」としても、後継者が次々と出てくるだけである。
ただし過度の電気エネルギーへの依存は安全保障の視点からも好ましくな
いし、まだまだ石油は産業構造を転換するには安過ぎるので経済的合理性
の観点からもガソリン車やハイブリッド車は今後も残るだろう。
問題は国際政治の面妖さの観点であるが、「地球温暖化仮説」で無理やり
EV需給を作り出してもやがて限界が来る。
だが、それまでは米国禁酒法時代と同様な地球温暖化仮説信仰の狂気の嵐
はしばらく続く。その辺はトヨタの中枢などは本当は分かっている筈で、
高度なエンジン技術の保持の為に、現在のエンジン装置をほぼそのまま使
える水素エンジン自動車で時をやり過ごそうとしている様に見えるのはお
らだけだろうか。
  (道楽Q)

  ♪
(読者の声4)貴誌7124号に、脱炭素に「水素」を期待されている方
が多いのですが、水素は燃焼すると水になり環境に優しいエネルギー源と
いして期待されておりますが、弱点があります。
1 熱量は石炭の1/5しかありません。
自動車に搭載するには約6倍積載する必要があります。
2 気圧が350気圧ある。
頑丈で重いタンクが必要で、自動車では 場所を取ります。(都市ガ
スは180気圧)
3 逆火の恐れ
燃焼が早く、16年ノルウェーの水素タンクが爆発しました。原因は口
火からタンク内に火が回ったのです。
4 素で100kWの燃料保存の場合
1km×2kkm15mの容量に350気圧に耐えるタンクが必要です。
 ちなみに、マグネシウム発電の場合、15m×15m×10mの倉庫で済
みます。
 マグネシウムの融点は650℃ですからマッチでは火がつきません。詳
しくはPHP新書「マグネシュウム文明論」が参考になります。
  (林文隆)
at 05:46 | Comment(0) | 高島康司

2021年11月22日

◆悪性インフレが襲う米国の現状

高島 康司

バイデン政権「ワクチン義務化」で解雇者続出、警察も消防士も人手不足へ。


アメリカ国内のインフレ状況
アメリカのインフレを巡る危険な国内情勢について解説したい。

日本の主要メディアでも報道されているので周知だと思うが、バイデン政
権の支持率低下が止まらない。

もともとバイデンは、大統領選挙の妥当性が論争の的になり深刻な分断が
進むアメリカで就任した大統領なので、50%を越える支持率の実現は難し
いとされていた。どんな政策を実施しようとも、共和党のトランプ支持派
は絶対にバイデン政権を支持することはないからだ。


しかしながら、そのような状況を勘案しても、いまのバイデン政権の急速
な支持率低下のスピードは予想を越えている。


このままの勢いで下がり続けると、12月から来年の1月になると、30%台
まで支持率は下落する可能性がある。30%台というと、アメリカを分断さ
せたトランプの支持率に並ぶことになる。

バイデンの人気が回復しない6つの理由
こうした状況に対して、アメリカの保守を代表するケーブルテレビ、
「FOXニュース」は「バイデンの人気が回復しない6つの理由(The 6
reasons why Joe Biden’s popularity numbers won’t recover)」で、バ
イデンの支持率が急速に下がった要因を説明している。それらは以下の理
由だ。

1. バイデンの指導力の欠如。側近が政策を立案している。

2. 民主党が左派に一段とシフトしている。左派は社会的弱者救済のセイ
フティネットの支出増大を求めるが、恩恵にあづかる層の支持は高いもの
の、他の層は強く反対。

3. バイデン政権の政策が支持率を下降させている。米軍のアフガニスタ
ンの撤退混乱、巨額の経済政策によるインフレの加速などだ。

4. ハリス副大統領は自分のオフィスをまとめ切れていない。混乱してい
るように見え、人気がない。逆に大統領の支持を低めている。

5. バイデンが選出された大きい理由は、彼がトランプではないという消
極的理由からだ。バイデンを積極的に支持したものではない。時間ととも
に、この理由からの支持は後退した。

6. 特にトランプ以降のアメリカは社会が分断。現在共和党と民主党は激
しく対立し、一方が相手陣営の大統領を評価することはほとんどない。こ
の事実は50%越えの支持率を困難にしている。

「FOXニュース」というトランプ支持の保守的なメディアなので分析は差
し引いて考えたほうがよいだろうが、本質はついていると思う。
     


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


◆雀庵の常在戦場/114熱戦へカウントダウンは始まった
“シーチン”修一 2.0

【Anne G. of Red Gables/394(2021/11/20/土】太宰曰く「良い予感は外
れ、悪い予感は当たる」。そこまでは言えないだろうが、「期待」は概ね
「挫折」する。スポーツ選手などはそこそこ上位だと「いつかはトップ
に」と思ったりするだろうが、才能と努力もあって地区大会で入賞して
も、全国大会、さらに世界大会を制覇するのは「心技体+運」の奇跡に近
いのではないか。

「挫折」が必ずしも悪いわけではない。大体、挫折を知らない人はまずい
ない。「艱難汝を玉にす」「失敗は成功の基」でもある。挫折や失敗や乗
り越えて挑戦していくのか、新しい分野に転身するのか、それとも引き籠
るか・・・日本人は概ね挑戦・転身派だろう。転業、転換、転戦、転進、
小生は転向だな。

これという資源のない小さな島国だから、ご先祖さまはナニクソ!と脳み
そと手足をフル稼働させて今の日本を創ってきた。根性があり、先の敗戦
でもめげずに、瞬く間に一等国に返り咲いた。「経済大国」という経済の
分野だけれど、銃の代わりにカタログと見本品を持って世界を巡り、艱難
辛苦、それだって一種の戦争だった。

さて、本題。現代史で世界制覇を目指し、軍事力=戦争でそれを実現しよ
うとした政治家として一番有名なのはドイツのヒトラーだろう。

<ヒトラーは1933年に首相に就任すると、ただちに一党独裁の全体主義体
制を確立、経済建設と再軍備拡張をはかった。1934年ヒンデンブルク大統
領の死後、総統となり、ヴェルサイユ体制(第1次大戦後のドイツ封じ込
め策)の打破を進めた。

1939年9月、第二次世界大戦に突入し、41年6月にはソ連にも侵入、一時ほ
とんど全ヨーロッパを占領した。また、各地に強制収容所を設置して、ユ
ダヤ人やスラヴ人を虐殺した。対ソ連のスターリングラードの戦いでの敗
北を機にドイツは劣勢となり、1944年6月、(米英仏など)連合軍のノル
マンディー上陸作戦で東西から挾撃された。7月、国防軍の反ヒトラー派
によるヒトラー爆殺事件は奇跡的に切り抜けたが、1945年4月30日、ベル
リンの陥落直前に愛人エヴァとともに自殺した>(旺文社世界史事典)

ヒトラー・ナチスの世界制覇戦争は6年で無残な敗戦(米英仏ソなど連合
国側の勝利)になった。独と同盟した枢軸国の日伊なども同様に無残な敗
戦になった。より正確に言えば、米国以外は疲弊した。戦後は米ソの冷戦
はあったが、大国間の戦争はなかった。それは凄まじい破壊力の核兵器が
抑止力になっていたからだ。核戦争になれば当事国はいずれも大打撃を免
れ得ない。

現在、米ロ中英仏印パ北+イスラエルなどの持つ核兵器は全体で1万3000
発あたりで、世界というか地球から人間はもとより動植物を数百年間駆除
するパワーがあるそうだ。核兵器が戦後に実戦で使われたことがなかった
のは、その破壊力を使えば敵も自国も壊滅的な打撃を被るので「攻撃を受
けなければ使わない」という暗黙のルールがあったからである。

ところが、核戦争を恐れない指導者が登場した。元祖は世界最大の人口大
国、中国の毛沢東である。戦争で兵士(貧民)や悪政で人民が数千万人死
んでも、それは単なる数字であり、痛痒を覚えないのが毛沢東流だ。冷血
漢のよう。都合の悪いことはなかったことにする、忘れたふりをする、隠
蔽する。

そう言えば米国では第2次大戦時のFDRルーズベルト政権時の機密文書公開
をまたもや延期したが・・・「勝てばすべて許される」「不都合な真実は
隠す」、軍の指導者、政治のトップとはそういうものかもしれない。毛沢
東はヒトラー、スターリンを超える20世紀最大の殺人者だろう。毛は糟糠
の妻の死だけは死ぬまで悲しむという、かなりエキセントリックな政治家
だった。

1953年にスターリンが死に、1956年にフルシチョフによる「スターリン個
人独裁批判」がなされた。毛沢東にとってスターリンは資金源、タニマチ
で頭が上がらなかったが、スターリン死後もソ連は中共にとって最大の後
援者であり続けた。個人独裁批判は毛沢東にとって到底受け入れられない
ものだったが、「綱領から『毛沢東思想』の言葉を削除し、党中央政治局
による集団指導と法の支配を打ち出した」(WIKI)。実際はソ連へ阿(お
もね)っただけの有名無実に終わったが・・・

毛はフルシチョフの平和共存路線=世界革命放棄に対する反発を強めつつ
も、1958年にはソ連の協力により原子炉運転開始に漕ぎつけた。翌1959年
に中ソ協定破棄、その後、独力で核兵器開発に着手し、1964年、日本が東
京五輪に浮かれている最中の10月16日、中国西部で原爆実験に成功、1967
年には水爆実験も成功させた(広島平和記念資料館)。

毛沢東はスターリン死後あたりから核武装を目指していたようで、1955年
のアジア・アフリカ会議、1957年のソ連で開かれた社会主義陣営の各国首
脳会議で、「大体、我が国は人口が多過ぎる。原爆で半分死んでも我が国
にはまだ3億人もいる」と豪語して、世界の海千山千の元首を唖然とさせ
ている。

1958年9月、核兵器製造の目途が付いたのだろう、金の切れ目が縁の切れ
目ということもあって、毛はスターリン以来のソ連の軛(くびき)を断
ち、後足で砂をかけるようにフルシチョフ・ソ連を「修正主義者」と罵倒
を強めていく。儒教を排除した毛・中共は「恩を仇で返す」あるいは「古
い友人」と持ち上げる、その場の都合次第である。

そして毛は正調マルクス・レーニン主義の代表として世界革命を目指し、
米国覇権への敵意も深めていく。多分、それは表向きだけで、竹のカーテ
ンで包囲網を喰らっていたから存在感をアピールし、かつ仲間を増やした
いために「反米」を唱えたのだろう。

「悪の限りを尽くす帝国主義者の寿命はそう長くない。彼らは反動派を助
け、植民地、半植民地、軍事基地を不法占領し、核戦争で平和を脅かして
いる。主としてアメリカ帝国主義(米帝)の侵略と抑圧を終わらせること
は、全世界人民の任務である」(1958/9/29)

「パンツ1枚になっても核兵器を持つ! 中共の興廃この一戦にあり!」
と毛沢東は研究者に発破をかけたろう、大した戦略家である。そして原爆
実験年内実施の目処がついたのだろう、1964/1/12には自信たっぷりにこ
う語った

「米帝は横暴の限りを尽くしており、自らを、全世界人民を敵にする地位
に置き、孤立を招いている。米帝の原子爆弾、水素爆弾は、奴隷になるこ
とを欲しないすべての人々を脅すことはできない、米帝に反対する全世界
人民の怒りの波を食い止めることはできない。我々は偉大な勝利を収める
であろう」

毛沢東の真似っ乞食、習近平は終身国家主席を目指して戦争を欲してい
る。毛とトウ小平はそれぞれ戦歴があるから死ぬまでトップの座にあっ
た、「だから俺も戦争して盤石の地位を固めたい」という、恐ろしく自分
勝手な理屈である。蛇の道は蛇、自称、自閉スペクトラムの鬱病の小生か
ら見ると習近平はナルシズム的な「自己愛性パーソナリティ障害」のよう
に見える。WIKIにはこうある。

<自己愛性パーソナリティ障害(英: narcissistic personality
disorder、NPD、以下「自己愛性障害」と略す)は、ありのままの自分を
愛することができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でな
ければならないと思い込むパーソナリティ障害の一類型である。患者はた
いてい自分が問題であるとは認識していないため、精神療法は概ね困難で
ある。

【自己愛性障害の症状】人より優れていると信じている/権力、成功、自
己の魅力について空想を巡らす/業績や才能を誇張する/絶え間ない賛美
と称賛を期待する/自分は特別であると信じており、その信念に従って行
動する

人の感情や感覚を認識しそこなう/人が自分のアイデアや計画に従うこと
を期待する/人を利用する/劣っていると感じた人々に高慢な態度をとる
/嫉妬されていると思い込む/他人を嫉妬する/多くの人間関係において
トラブルが見られる/非現実的な目標を定める

容易に傷つき、拒否されたと感じる/脆く崩れやすい自尊心を抱えている
/感傷的にならず、冷淡な人物であるように見える

これらの症状に加え、自己愛性障害の人物は傲慢さを示し、優越性を誇示
し、権力を求め続ける傾向がある。彼らは称賛を強く求めるが、他方で他
者に対する共感能力は欠けている。一般にこれらの性質は、強力な劣等感
および決して愛されないという感覚に対する防衛によるものと考えられて
いる。

自己愛性障害の人物は人より優れているという固有の高い自己価値感を有
しているが、実際には脆く崩れやすい自尊心を抱えている>

習近平の父、習仲勲は毛沢東の優秀な側近だったが、文革で潰され、習近
平自身も小5あたりから数年間、僻地に下放されて悲惨な目に遭った。そ
れなのに彼はひたすら仇である毛沢東の真似をしている。「何故なのだろ
う、毛沢東を乗り越えることで父の敵討ちをするつもりか?」と長らく
思っていたが、以下の論稿を読んで「習近平は異常なビョーキであり、世
界の危険である」と腑に落ちた。そうとしか思えないのだ。

エドワード・ルトワック「父は16年間の投獄、姉は餓死・・・文化大革命
で苦痛を味わった習近平がそれでも毛沢東の背中を追う異常な理由 『ラ
ストエンペラー習近平』より」文春オンライン2021/9/9、抜粋の全文は 
https://bunshun.jp/articles/-/48188

<中国が「チャイナ4.0」(強硬な外交姿勢)という最悪の戦略に回帰し
てしまった大きな要因のひとつは、「皇帝」である習近平のパーソナリ
ティに求められるだろう。そこで習近平の経歴を少し詳しくみていきたい。

彼の前半生は苛烈なものだった。それはまず、「革命の英雄」を父に持
ち、その父が激しい権力争いのなかで残酷な迫害を受けたことに始まる。

習近平の父、習仲勲は中国の中央部にある陝西省に生まれ、10代で共産党
組織に身を投じた。陝甘辺区(せんかんへんく)ソビエト政府で主席と
なったのはわずか21歳のときだった。当時、中国共産党は国民党軍から逃
げるために、1万2000キロ以上にも及ぶ大移動をおこなっていた。この
「長征」のなかで主導権を握ったのが毛沢東である。

10万人の兵力を数千人にすり減らすような過酷な逃避行だったが、この
「長征」の最終目的地となったのが陝西省だった。そこでは若き習仲勲ら
が共産党の根拠地を死守していたからだ。共産党政府は同省の延安を臨時
首都とした。もし習仲勲らの根拠地が潰されていたら、いまの中華人民共
和国は存在しなかったかもしれない。

中国建国後、習仲勲は国務院副総理(副首相)などの要職に就いた。彼ら
中央指導者は多忙を極めていたため、子弟のために全寮制の幼稚園や小学
校をつくった。1953年生まれの習近平も姉や弟とともに、そうした全寮制
の学校で育てられたのである。いわば彼らは「党の子どもたち」だった。

ところが1962年(文化大革命が始まり)父・習仲勲は反党的な小説の出版
に関わったという嫌疑をかけられ、全ての要職を奪われてしまう。それか
ら習仲勲は1978年まで16年間も投獄や拘束といった迫害を受け続けたので
ある。母親の斉心も革命運動に参加、八路軍でも兵士として戦ったが、文
革では公の場で批判を浴びせられ、暴力もふるわれた。

文革の嵐は、当時、中学生だった習近平をも襲った。紅衛兵によって生家
を破壊され、十数回も批判闘争大会に引き出されて、あげくに反動学生と
して4回も投獄されてしまったのだ。そのため、中学から先は正式な教育
を受けられなかった(のちに推薦制度により清華大学に無試験で入学)。
さらには陝西省の寒村に下放(青少年を地方に送り出し、労働を体験させ
ること)され、黄土を掘りぬいた洞窟に寝泊まりさせられるなどの苦難を
味わっている。

姉は文革中に餓死したと伝えられるが、妹も下放され、素手でレンガをつ
くる作業を強制され、食うや食わずの生活を経験している。

重要なのは、これらはすべて、「毛沢東の党」によって行われてきたとい
うことだ。そもそも文化大革命自体、毛沢東が他の共産党のリーダーたち
を潰すために行ったのであり、実際に中国共産党は「毛沢東の党」となっ
た。それが中国全体にとって巨大な災厄をもたらしたことは言うまでもない。

多くの幼児虐待の専門家が認めていることだが、外部の人間が、子どもが
虐待を受けていることに気づいても、その子ども本人が虐待をしている親
の元に留まりたいと思うケースは少なくない。そうした子どもたちは、自
分が間違っているから親に𠮟られているのだ、と考え、今よりももっとい
い子になろう、親の言うことに従い、「正しい行い」をすることで許しを
得よう、と考えてしまうのである。

習近平のケースは、まさにこれに当てはまる。彼にとって毛沢東こそが
「虐待する父」なのだ。習近平も薄熙来も「父なる毛沢東=共産党」に許
され、幹部への道を進んだ。虐待された父から、お前の態度は正しいと認
められたのである。それが彼ら“毛沢東チルドレン”の「毛沢東が行ってい
た以上に、毛沢東的な政治を目指そう」という行動となってあらわれてい
るのだ。

まさに習近平は、毛沢東よりも極端に毛沢東主義的な政策を行おうとして
いるのである。そう考えると、私が「チャイナ4.0」と呼ぶ、極端な対外
強硬路線も理解できるだろう。中国は今、習近平という非常に破壊的な人
格を持つリーダーによって、政策が決定されているのである。

そうした習近平の破壊的な行動は、彼が独裁体制を強化するにつれて、よ
り極端になっている。それは二つの次元で進行している。

ひとつはシンプルに、誰も習近平のやることに反対できない、ということ
だ。こちらのほうはわかりやすい。習近平に異を唱える人物はいなくなる
か、いつ排除されるかわからないという恐怖で沈黙させられているのだ。

もうひとつは、独裁体制というものは実はきわめて不安定なシステムであ
り、独裁者とは不安で危うい存在だということだ。

独裁制は「弱い」権力システムだといえる。権力が集中すればするほど、
独裁者の失敗や、その決断に対する違和感は、大きな「ノイズ」となっ
て、支配の根拠を動揺させる。そうした「ノイズ」を取り除くために、独
裁者はますます自分に権力を集中させ、異分子を徹底的に排除しなければ
ならない。今、習近平がやっていることは、それである。それは彼の支配
を強めると同時に、崩壊の危険性を高めているのである・・・>

支那人は対人関係において上下を重んじる。声を荒げた方が上位になるが
「奴は居丈高だが、それは根拠があるからだろう、ここは下手(した
て)に出た方が良さそうだ」と損得を考えて下位が一歩引くからだ。下手
に出たところで「上に政策あれば下に対策あり」で上手く対処できるか
ら、敢えて角逐するのは避ける、という処世術だろう。

日本もその傾向はあるが、上司の業務命令に異議を唱える時は「お言葉で
すが部長」と枕詞から提案する。「お言葉ですが」の一言には「尊敬する
部長の命令は了解しました、しかし、こういうやり方もありますからご検
討いただけないでしょうか」という謙譲語的な意味が込められている。
「部長、そんなの愚策です、ちょっと考えれば分るでしょう」なんて言っ
たら恨みを買うから下策である。

上司も「お言葉ですが」と言われれば悪い気はしないし、それが良案なら
受け入れて実行する。成功すれば「いやあ、実はあれはA君のアイデア
だったんだよ」と社内でA君を誉め、A君も「部長が後押ししてくれたから
からです」なんて言って、いかにも日本的な関係になったり。部長の娘が
A君に嫁いだり・・・まるで兄弟仁義、血をすすり合った中、こういう
ケースは日本では珍しくないのではないか。“ドライ”ではなく“ウェット”
な人間関係。

日本は儒教、仏教を含めて支那から多くを学んできたが、神道や風土の穏
やかさもあって国民性や国柄は随分違ってきた。世界はそういうもので、
多様性は結構なことだと思うが、習近平・中共の「我こそ正義、世界は俺
に従え」の主張、行動は多様性どころか「狂気」である。それなりに効果
があった「戦後秩序」への挑戦であり、それを支えてきたG7を始めとする
諸国にとってはとても看過できることではない。

上記のルトワックは現在の戦略研究家としてトップクラスであり、彼の上
記論稿も世界の多くの指導者に読まれているはずだ。習近平・中共の異常
なトラウマが危機の元凶であることは共有されたに違いない。

「トラウマとは、その人にとって危機的で対処不能な出来事に対する、身
を守る反応として生理学的に生じる強度の防衛的ストレス反応(トラウマ
体験)がその後の時間の経過によっても解消されず、その身体反応が定
着してしまいその定着した反応(トラウマ反応)が日常生活にもたらす
影響」(プロカウンセラー池内秀行公式サイト)

建国の父、カリスマの毛沢東に比肩したい、できれば毛沢東・中国の「中
興の祖」になりたい、そのためには台湾、そして日本を屈服させたい、さ
らにアジア・西太平洋を制覇したい・・・習近平の夢、中共の夢・・・彼
は核兵器使用に逡巡しないだろう。「大体、我が国は人口が多過ぎる。原
爆で半分死んでも我が国にはまだ7億人もいる」と毛沢東チルドレンであ
りナルシズムの自己愛性障害の習近平なら濁りなく思っているはずだ。

反中諸国による中共包囲網が完成する前の2022年の冬季五輪後、習近平は
戦端を開くだろう。カウントダウンは始まっている。



━━━━━━━━━━━━━━━


◆タリバン政権は機能しておらず

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)11月20日(土曜日)
通巻第7122号  <前日発行>

 何でいまごろ? ロシア、自国民避難のためカブールに 
輸送 機   タリバン政権は機能しておらず、ISのテロ
              で治安も深刻に悪化

 11月18日、プーチン大統領はショイグ国防相に対し、アフガニスタン・
イスラム共和国の領土から、ロシア連邦とCSTO加盟国(ベラルーシ、キル
ギス、アルメニア)の人々の避難を命じた。
 ロシアは航空宇宙軍の輸送機3機をアフガニスタンに飛ばした。カブー
ルなどに残留していたロシア人380人を避難させるためである。

 カブール陥落から三ヶ月、自信を持ってロシアはアフガニスタンに残留
させていたのではなかったか。

 経過を思い起こせば、8月15日にタリバンはカブールを包囲した。米
軍の予測よりタリバンの攻勢は迅速だった。在カブールの米国大使館に陸
続とヘリコプターが着陸、外交官が機密文書を慌ただしく処分した。
 アフガン内務省はガニー大統領が国外に脱出したことを確認した。
 米国の傀儡だったガニー政権は崩壊したが、アフマド・マスードらはパ
ンジシール渓谷に健在で降伏の意思を示さなかった。

 9月11日、撤退完了予定を前倒しして、米軍は8月30日にアフガニス
タンからの撤退作戦を終えた。翌日、バイデン大統領は国民向けの演説で
戦争終結を宣言。即座にタリバンは勝利を宣言した。

 けっきょく、アフガニスタンでの死者は17万1,000〜17万4,000人に及
び、加えて疫病、食糧不足、水の欠乏などによる間接的死者の数は不明で
ある。

 加えて260万人のアフガニスタン人が難民としてパキスタンやイランに
逃れている。一説には、このほかに400万人のアフガニスタン人が国内難
民となっているという。

 ロシアは医療品や食糧などを往路の航空機に詰め込んで、おそらくその
バーターでロシア人避難をタリバン政権に認めさせたのではないか。とい
うのも、タリバンの統治能力に限界があり、ISがテロを繰り返して以前
より治安は悪化しているからだ。おまけにアルカィーダは不気味な沈黙を
続けている。

  
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 ●特報 「憂国忌」の記念冊子、50年分をDVDで頒布します
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  ♪♪
 憂国忌50年分の記念冊子を電子データ化したDVDを希望者に頒布しま
す。貴重な冊子をひとまとめにした稀覯本になります。
 ご希望の方は郵便番号、住所、氏名を以下のメールまでお知らせください。
 m-asano-1959@outlook.jp
 一部1000円、代金は同封の郵便振替用紙(手数料弊会負担)にて品物到
着後にお支払いください。
 ●特記●「憂国忌賛助会費」をお納めくださった方につきましては、憂国
忌終了後に
本年度冊子と一緒にお送り致します。発送は12月初旬になります
 
 ▼▼▼
 三島由紀夫氏追悼 第51回追悼の集い『憂国忌』(2021/11/25)
 LIVE 生中継番組があります。
  11月25日 午後弐時〜四時
https://youtu.be/6lBTjJ71iyA
        (日本文化チャンネル桜)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)貴誌令和三年(2021)11月19日(金曜日)通巻第
7121号「読者の声」で、佐藤守元空将の御寄稿を拝読しました。
 私は、靖国神社横の会館で、佐藤元空将による御講演を何回か拝聴させ
ていただいたことがあります。 
 今や「軍事評論家」よりも「UFO評論家」の方が有名だそうですが、私
は、御講演における、山本五十六元海軍大将が過大評価されている反面、
東条元首相は過小評価され過ぎであるという御主張には、まったくの同感
でした。御寄稿に接し、あらためて本誌読者層の広さを感じました。
 佐藤元空将のさらなる御健勝、御活躍をお祈りいたします。
(椿本祐弘)



  ♪
(読者の声2)アメリカのWEBサイトに real jewnews があり、ユダヤ批
判の記事が中心で、主宰するのはピッツバーグ生まれのユダヤ人、現在は
自称ロシア正教の活動家。キリスト教徒でもユダヤ人を非難することは
ローマ教皇とイエズス会から非難をそらすものだと批判する者もいる。
日本でも某宗教新聞などかつては読むにたえない罵詈雑言が飛び交ってい
た。宗教問題は面倒くさい。
 2007年の古い記事から読んでいたら記事とともにコメント欄が面白い。
日本ではほとんど知られていない本やロシア関係の情報もあり、ロシア革
命関連など革命家と資本家の関係など当時は公然の秘密だったようです。
日本でGHQの検閲が行われたように欧米でも新聞・通信・放送・出版と
ユダヤ系が抑えており、その圧力で一般人の目からはユダヤ革命の残酷さ
や資本家との関係は隠されたのでしょう。
 ロシア語のサイト rus-sky.com にはロシアの歴史にかんする記事が多
数掲載されています。ロシア語は全く読めないので機械翻訳で読んでいま
すがじつに面白い。
今回紹介するのは1937年に元ボリシェヴィキのコミッサールが書いたとさ
れるもの。一般的には作家であることを想定していなかった彼の忍耐の杯
が溢れ出し、深く隠された歴史的真実を復元するためにペンを取った、と
いうことらしい。アメリカで出版されたものでロシアでは一度も出版され
ていないという。記事には第四インターが出てくるので1938年以降に書か
れたか、あるいは1937年には第四インターが実質的に成立していたので
しょうか。
以下抄訳。
『トロツキー 「ロシア」革命の主な原動力として』 全9章
http://rus-sky.com/history/library/trotzky.htm
序文
 トロツキーの名で知られるレフ・ブロンシュタインが、突如として政治
の表舞台に現れてから20年余りが経過した。ユダヤ人の強欲な地主の息子
で、隣人から冷酷に搾取していた人物が、突然、世界で最も重要な過激な
政治指導者の一人になるなんて、まったく信じられないことだ。しかし、
さらに驚くべきことに、彼が世界規模で人権を全く無視していることが広
く知られるようになってから、彼の人物像に対する世界の注目度が高まっ
たのである。 
 しかし、今日のトロツキーは、ヨーロッパやアメリカ中のあらゆる過激
な犯罪的要素を惹きつけているだけでなく、第3共産主義インターナショ
ナルのライバル組織である第4インターナショナルの唯一の支配者でもあ
る。さらに興味深いのは、彼がたまたま、西側の自由主義的な知識人全体
の共感を得ているという事実である。彼らは、彼を、スターリン政権の犠
牲者、つまり、スターリン自身が確立した血なまぐさい政権の犠牲者とし
て描いている。この政権は、現在、スターリンの妻の親族(兄)であるカガ
ノビッチによって完全に支配されている。

 メキシコに逃れていたトロツキー・ブロンシュタインは、間もなく戻る
ことを宣言する。トロツキーが大富豪の友人であるメキシコ人とされる
ディエゴ・リベラの豪華な別荘に住んでいることが、それを物語っている。
メキシコ大統領のラサロ・カルデナス将軍は、このユダヤ人の人類平等の
使徒のために、「エル・イダルゴ」(「高貴な騎士」という意味)という
特別列車を送った。トロツキーは、その生涯において、最も贅沢な資本家
の特権を決して嫌っていないことを、その行動によって示している。
過激派やあらゆる知識人は、人生のごく短い期間に給料を受け取ったこの
男が、いつも自分を溺れさせている贅沢さに何の驚きも感じないようだ。
それにもかかわらず、B.ストルバーグのようなアメリカの有名なリベラル
派の作家は声高に宣言する。「トロツキーの出世の理由は、活動的で疲れ
を知らない革命家としての人格にある」

 もちろん、見方にもよるが。多くのユダヤ人は、トロツキーに共感を覚
えるだろう。知識人たちは、誰も知らない世界を救いたいという願望に燃
え、トロツキーを、世界を社会的・経済的な楽園に導くために召集された
ある種の救世主として想像しようとする。しかし、一般の人は、トロツ
キーを判断する前によく考えるべきである。というのも、マスコミが彼に
ついて書いていることと、現実の彼との間には、大きな矛盾があるからで
ある。
 トロツキーが権力の頂点に立っていた時代にロシアで赤のコミッサール
(人民委員・政治将校)を務めていた私は、この男について言うべきことが
あると断言する。人類史上最も悪質な犯罪者であるこの男には、羞恥心や
後悔の念は全く存在しない。

第1章
 誰もがトロツキーの存在を知ったのは、主に1917年にロシアに突然現
れ、「レーニンの最も親しい友人であり、仲間である」と自己紹介した時
であった。1917年以前にトロツキーを知っていた専門家はほとんどいない。
トロツキーの父親の財産は、ヘルソン近郊のヤニフカにあった。若き日の
ブロンシュタインは、大学への進学を望まず、ニコラエフ市の革命サーク
ルに参加するようになった。
 当時のロシアでは、プロテスタントの地下組織が数多く存在し、正教会
はそれと闘っていた。若きブロンシュタインはこれらのサークルに潜入
し、彼らの宗教的不満を利用して反政府感情を煽ったのである。このよう
に、若いユダヤ人がキリスト教を破壊的に利用した典型的な例である。
 やがて若き日のブロンシュタインは逮捕され、シベリアに追放された。
しかし、ユダヤ人の若い妻や国家の同志たちの助けを借りて脱出し、西欧
に身を寄せたのである。妻と2人の娘はシベリアに残った。それ以来、ト
ロツキーは『自伝』の中で「妻とは何気なくしか会わなかった」と語って
いる。
 トロツキーの父親は大金持ちの地主で、巨大な製粉所を持っていた。ブ
ロンシュタイン翁は、もちろん農民の労働力ではなく、隣人に略奪的な利
子で金を貸して財を成したのだが、息子が収用者全員の収用を伴う10月革
命を実行したとき、このスローガンは実の父親にも当てはまった。
 トロツキー自身も、革命で父はたくさんのものを失ったと言っている。
トロツキーは、父の損失を補うために、ロシアの無制限の独裁者となり、
父をモスクワ近郊の国営繊維工場の所長に任命した。
 トロツキーが初めてレーニンに会ったのは、ロンドンだった。なお、ロ
ンドンは理由があって、ロシアに対して陰謀を企てるあらゆる種類の悪人
が集まる場所である。ヘルゼン、カール・マルクス、トロツキー、レーニ
ン、そして同郷のケレンスキーなど、イギリス政府が関係していたわけで
はないらしい。
 トロツキーが西欧に到着したとき、彼はロシアからの政治的、主にユダ
ヤ人の移民の一人であった。これらのユダヤ人政治亡命者の群れは、ロン
ドン、パリ、
ジュネーブなどのヨーロッパの首都に押し寄せた。彼らは、すべての政党
の全領域を代表していた。ユダヤ人は、君主主義者、共産主義者、シオニ
ストなど、あらゆる政党の政治家であった。世紀初頭のジュネーブでは、
ある建物で共産主義者の会議が開かれ、しばらくして同じ建物でシオニス
トの会議が開かれるという状況があったが、そこには同じ人がいることが
よくあった。そのため、これらの会議が同時に開催されることはなかった。

 1900年から1905年まで、レーニンは公式には社会民主党(当時は共産党
と呼ばれていた)のリーダーであった。しかし、この時、党の主な原動力
となったのはトロツキーであった。その結果、トロツキーとレーニンとの
関係は悪化し、トロツキーは徐々に党から撤退していったのである。その
後、レーニンとトロツキーの関係は、クーデターが成功しても、常に冷静
さを欠いていた。
 トロツキーは、ユダヤ人特有の性格のため、ロシア国民の人気者になる
可能性はほとんどないと考えていた。レーニンは、半ユダヤ人であること
を慎重に隠していたので、はるかにチャンスがあった。しかし、これはト
ロツキーがリーダーシップを譲ることを意味するものではなかった。彼は
ただ、自分の強さと狡猾さを最大限に生かすことにした。(続く)
  (PB生、千葉)

at 06:00 | Comment(0) | 高島康司

2021年06月30日

◆日本でも食糧危機は起こるか?

高島 康司


世界の食料価格急騰に3要因国民が飢える
           最悪シナリオ=高島康司
2021年6月26日ニュース

食料価格が急上昇し、10年ぶりの高水準となっている。これは常々言われ
てきた「食料危機」の前兆だろうか?日本も食料不足に陥るのか、価格上
昇の背景とともに解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動
メルマガ』高島康司


※毎週土曜日か日曜日の16:00よりLIVE配信予定「私たちの未来がどうなる
か考える!メルマガ内容の深堀りと視聴者からの質問に答えるQ&A」世界
中から情報を収集、分析し、激変する私たちの未来を鋭く予測する『ヤス
の備忘録』でおなじみ、ヤスこと高島康司さんのライブ配信が大人気。世
界の未来を、政治経済の裏表だけでなく、歴史、予言、AI、陰謀、スピリ
チュアルなどあらゆる角度から見通します。視聴方法はこちらから。
10年ぶりの高水準となった世界の食料価格
近い将来に日本で食糧危機が起こる可能性について解説したい。

いま世界の食料価格が急上昇し、10年ぶりの高水準を記録している。代表
的なものの対前年度比の上昇幅は以下のようになっている。

・トウモコロコシ:61%
・大豆:60%
・植物油:74%
・小麦:12%
・砂糖:54%

このような食料価格の急騰を見ると、かねてから懸念されていた世界的な
食糧危機が始まったのではないかと懸念してしまう。事実、そのような声
はネットにあふれている。

いま懸念されているグローバルな食糧危機とは、地球温暖化による環境破
壊が臨界点に達し、

1. 異常気象
2. 水源の枯渇
3. 利用可能な農地の縮小

などが原因となり、農業生産が長期的に低減する状況を指している。いわ
ば農業生産の限界点である。

この水準に達してしまうと、増加する人口に食料の供給ができなくなるの
で、世界各地で集団的な飢餓が発生する。もちろん供給量が絶対的に減少
するので、食料価格は高騰する。

これが起こる可能性は何年も前から懸念されてきた。いま起こっている穀
物などを中心とした食料価格の急騰は、こうした食糧危機の最初の前兆で
はないかと見られているのだ。

果たしてそうだろうか?

マヨネーズも牛丼も値上げへ。それでも食糧危機の前兆とは言えぬワケ
しかし、今回の食料価格の高騰の原因を見ると、これが懸念されてきた食
糧危機の前兆ではないことが分かる。その主な原因は次のようなものだ。

<トウモロコシ、大豆、小麦>
これは中国が養豚拡大のため飼料用穀物の購入を増やしているものの、主
要な産地である北米や南米が、不安定な天候から収穫が一段と減るとの見
方が強まった結果だ。穀物価格の急騰は、これを飼料としている畜産業に
も大きく影響し、食肉価格全般を高騰させる原因にもなっている。

<食物油>

また加工食品などに使う植物油の高騰だが、これは消費量が最も多いパー
ム油が、主産地の東南アジアの生産量が伸び悩んだ結果である。バイオ
ディーゼルなど燃料の需要が膨らむとの期待もあり、植物油がそちらの用
途に振り向けられているのだ。

上記のものはすべて加工製品の原材料となるため、これから食料品全般の
価格上昇が予想されている。たとえば食品メーカーの「キユーピー」など
は、主な原料である食用油の価格が上昇しているとして、主力商品のマヨ
ネーズを7月から最大で10%程度値上げすると発表している。同じような
動きは、日本でもこれから多くの食品で続くと思われる。また輸入牛肉の
値上げから、牛丼チェーンも値上げせざるを得ない状況だ。

at 08:21 | Comment(0) | 高島康司

2021年03月07日

◆バイデンが狙う「グレート・リセット」

高島 康司


格差定着。プーチン猛反発で米ロ衝突必至か
バイデン政権とダボス会議などが提唱する構想「グレート・リセット」
は、一見するとよいプランに思える。しかし、環境破壊や格差拡大を進め
てきた元凶たちが自らつくりあげたグローバル経済をリセットし、また新
たなグローバルな体制へと置き換える構想だ。ロシアのプーチンはこれを
強く批判している。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』
高島康司)

【関連】バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFR
へ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司

バイデンのアジェンダは「グレート・リセット」か

バイデン政権と「ダボス会議」などが提唱する構想、「グレート・リセッ
ト」との関係について解説したい。

バイデン政権の背後にいる「CFR」や、それと連動して動いていると思わ
れる「ダボス会議」が目標にする「グレート・リセット」は、いったいな
にが問題なのだろうか?

その中身を一見すると、非常によいプランのようにも思える。だが、その
問題点を追求すると、「グレート・リセット」の本質が見えてくるのだ。



【関連】「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具
体的な中身=高島康司

「CFR」と「ダボス会議」は徹底した新自由主義

「グレート・リセット」のコンセプトの重要な柱になっているのは、地球
温暖化ガスの排出抑制による地球環境の回復、そして社会不安の背景にな
る極端な格差の解消である。

これはもっともなことだ。これらがこの構想の柱である限り、「グレー
ト・リセット」は強い説得力と合理性を持つ。反対するのは難しい。

いまの地球環境の破壊の水準はすでに臨界点に達しており、早急の対処し
ないと2030年くらいには多発する大規模自然災害から資本主義の社会体制
のみならず、現代文明の基礎さえ侵食され、種としての人類そのものの持
続可能性すら問題になってこよう。

「グレート・リセット」が提示するような、現代の資本主義の抑制のない
拡大にストップをかけられる根本的な転換が必要なことは間違いない。

さらに、環境問題とともに、社会的格差の極端な拡大も深刻な問題となっ
ており、新型コロナウイルスのパンデミックによって既存の資本主義の矛
盾が拡大し、一層可視化した現在では、リセットは必要だろうと思われる。

だが「グレート・リセット」が、「CFR」や「ダボス会議」という既存の
支配勢力によって実施されることが問題なのだ。

【関連】バイデンの背後にいる勢力とは?主導権はリバタリアンからCFR
へ、米国はトランプ以上の分断に向かうのか=高島康司

「CFR」が設立された理由は、ある目標を実現するためであった。それ
は、主権国家による世界秩序を超越した「世界政府」の樹立である。
「CFR」と密接に連携している「ダボス会議」も、この目標を共有するコ
ンセンサスを得ていると思ってよいだろう。

では、「CFR」などはこれまでどのようにして「世界政府」の樹立などと
いう一見奇想天外に見える目標の実現にこれまで動いてきたのだろうか?

実はグローバリゼーションの推進こそ、この目標を実現する方法であっ
た。これは「CFR」が発行する外交誌、「フォーリン・アフェアーズ」の
過去の記事を見ると明確だ。

グローバリゼーションとは、国家が障壁とならない自由な貿易を徹底して
推進し、資本が国境を越えて世界のあらゆる地域に投資できる状態のこと
である。

この原則にしたがうと、社会保険や失業保険、そして生活保護などのセイ
フティーネットは労働力のコストを引き上げ、投資の効率を悪くする要因
として嫌煙された。また健康保健などの国民生活を保護するシステムや、
電気や水道など公的部門が管理する社会インフラは、高いリターンを求め
て世界を移動する資本が投資できる領域として民営化するべきだとされた。

グローバリゼーションが拡大する世界では、国民の生活を守るために政府
が導入したさまざまな制度や規制は、投資の自由を阻害する障壁として攻
撃の対象になった。

社会と経済の大部分の運営は、資本が主導する市場原理にゆだねられるべ
きで、国家はこれに介入すべきではないとされた。国家の権限は、資本の
投資の自由に介入できないように、徹底して縮小されるべきことが主張さ
れた。これはまさに、国家と政府の力が縮小され、グローバルな資本が形
成する世界的なネットワークに埋め込まれる状態のことを指している。こ
れがグローバリゼーションの中身である。

つまり、グローバリゼーションの進展によって主権国家の力を弱め、グ
ローバルな資本が支配し運営する体制に世界を転換させることが、
「CFR」が主張する「世界政府」樹立への第一歩であるとされていたのだ。

事実、2008年の金融危機が発生する以前のグローバリゼーション全盛の時
代では、国家の消滅こそ未来の方向性であると普通に主張されていた。


「CFR」の核となる企業が、「ゴールドマン・サックス」、「JPモーガ
ン」、「モーガンスタンレー」、「シティ」、「バンク・オブ・アメリ
カ」、「ムーディーズ」などの国際的な金融資本、また「グーグル」や
「フェースブック」、「AT&T」などの大手IT・通信企業、さらに「エクソ
ンモービル」や「シェブロン」などの国際エネルギー企業などであること
を見ると、グローバリゼーションの促進で国家と政府の規制が弱められ、
世界のあらゆる地域が彼らの自由な投資領域として確保されることは、ま
さに「CFR」の利害に合致している。もちろんこれらの企業は、「ダボス
会議」にも名前を連ねている。

要するに、グローバリゼーションの促進による新自由主義こそ、「世界政
府」樹立に向けての方途だったということだ。

Next: 世界の歪みを作った元凶が「グレート・リセット」を主導?ロシア
は反発

at 08:08 | Comment(0) | 高島康司

2020年11月09日

◆ダボス会議「グレートリセット」


で仕組まれる金融崩壊とコロナ後の資本主義=高島 康司

ダボス会議が発表したコロナ以降の世界計画「ザ・グレート・リセット」
の具体的な内容について解説したい。世界はどう変わるのか。この構想に
は日本も絡んでいる。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマ
ガ』高島康司)

【関連】最悪の2020年、次に起きる大事件とは?米抗議デモを的中させた
専門家の警告=高島康司


※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』
2020年10月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に
バックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

明らかになった「ザ・グレート・リセット」の中身

世界の超富裕層と国際資本が集まる「ダボス会議(世界経済フォーラ
ム)」は、2021年のテーマとして「ザ・グレート・リセット」というテー
マを掲げた。

これは、新型コロナウイルスのパンデミックを契機にして、環境破壊や社
会的な格差の矛盾が限界に達した現在のグローバル資本主義の動きを一度
リセットし、環境や社会的格差に配慮した持続可能な資本主義へと方向転
換させてしまうという計画だ。

いわばこれは、既存の社会体制の本質的な変革を目指すものだ。

このダボス会議の「ザ・グレート・リセット」のコンセプトは、環境や格
差に配慮した持続可能な資本主義への転換といういう点では、基本的には
非常によい内容だ。

しかし、「ザ・グレート・リセット」の本当の内容はまったく異なる。当
メルマガの記事には何度も書いているが、筆者が交流している外資系シン
クタンクの研究員などは、「ダボス会議」に集結している勢力は、早くて
2021年から22年、遅くとも5年後の2025年までにはこのリセットを本格的
に実現するという。

彼らによると「ザ・グレート・リセット」の目標は、資本主義と民主主義
をリセットし、全体主義的な高度管理社会への移行の実現であるという。

その最初の段階として、アメリカの混乱に乗じて高度管理社会導入への一
歩を進め、さらに現行の金融システムをリセットするために金融崩壊を演
出するというプランの可能性もあるとしている。

ダボス会議の「ザ・グレート・リセット」は、すでに彼らのサイトで細か
く説明されている。日本語サイトも用意されているので見たことのある読
者もいることだろう。以下が日本語サイトのURLだ。ぜひ見てほしい。

・「グレート・リセット(The Great Reset)」ツイン・サミット形式で
2021年に始動 – 世界経済フォーラム
https://jp.weforum.org/press/2020/06/the-great-reset/

具体的なことは何も説明されていない

しかし、このサイトを一読すると分かるが、現代のグローバル資本主義を
リセットするということは分かるにしても、その結果、何をしたいのか具
体的なことはほとんど語られていない。

その説明は抽象的で、パンデミックこそ大きなチャンスだというような漠
然とした美辞麗句にあふれている。リセットがなにを意味するのか、具体
的にイメージさせる説明はほとんどない。

おそらくあえて内容を抽象的に表現しているのだろう。そのこともあっ
て、「ダボス会議」が提起したこの「ザ・グレート・リセット」は注目さ
れているとは言えない状態だ。内容の憶測だけが飛び交っている。

at 07:46 | Comment(0) | 高島康司

2020年09月22日

◆米国のジャパンハンドラーが画策

高島康司


持病悪化だけではない安倍辞任の真

安倍首相が持病悪化を理由に辞任する。その理由が嘘とは言わないが、7月30日にジャパンハンドラーが発表したレポートを見ると、背景にあるトランプ政権の圧力が見えてくる。(『未来を見る!
『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)


病気「だけではない」辞任の理由

安倍首相辞任の背景にあるトランプ政権の圧力と、その理由になっているアメリカの長期計画について解説したい。

安倍首相が突然と辞任した。辞任の理由は潰瘍性大腸炎だった。これは難病に指定されたやっかいな病気である。大腸の粘膜に潰瘍やただれができる炎症性の疾患で、下痢や下血、腹痛を繰り返し、重症の場合は手術で大腸をすべて取らなければならない場合もある。

いくつかの治療薬があるが、薬で完全に治って再発しないのは1割程度とされ、8割ぐらいの患者は一時的に症状は治まっても再び発症する「再燃寛解型」と呼ばれるタイプに分類される。さらに残り1割の患者は、半年以上にわたって症状が治まらない慢性持続型と呼ばれる。安倍首相はこの「再燃寛解型」であったと思われる。

新型コロナウイルスの蔓延、それに伴う予想を越えた経済の地盤沈下、そして米中対立の激化など緊急の対応を要求する課題が多く、その激務とストレスから、かねてから患っていた潰瘍性大腸炎がぶり返し、今回の辞任に至ったというのがもっぱらの報道である。

もちろん、病気の再発が安倍首相辞任の直接的な原因であったことは疑えないが、首相を辞任に追い込んだ「別の原因」があった可能性が高いことがさまざまな方面から指摘されている。

米シンクタンクのレポートに隠された意図

すでにネットでは情報として出回っているので周知かもしれないが、安倍首相を辞任させる圧力になったのは、「CSIS」というアメリカの安全保障系のシンクタンクから発表されたレポートであった。

ちなみに「CSIS」は、リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイ、またマイケル・グリーンなどの「ジャパン・ハンドラー」と呼ばれ、歴代政権に仕える日本担当チームが結集しているシンクタンクだ。現在のトランプ政権の対日外交政策にも影響力があるといわれている。そのため「CSIS」が日本に向けて出すレポートは、アメリカの意向を伝えるものとして理解され、日本の歴代の政権に対して影響力を持っている。

7月30日、「CSIS」から「日本における中国の影響:どこにでもあるが特定のエリアはない」という題名のレポートを発表した。これは安倍政権下における中国の影響力を調査したレポートだ。


このレポートは(少なくとも表面上は)、安倍政権をことさらに批判したものではない。レポートの趣旨は「日本における中国の影響力」の調査だ。中国はアメリカやヨーロッパをはじめあらゆる国々に経済的、政治的、そして文化的な影響力を強化する政策を実施しており、その多くはかなり成功している。たとえば、中国政府が世界各地に開設した中国の文化センター「孔子学院」は、特にヨーロッパ諸国で中国の文化的な影響力の拡大に貢献している。

今回の「CSIS」のレポートは、中国のこうした文化的影響も含め、日本における中国の影響力を文化的・政治的・経済的な側面から調査して、分析したものだ。
2020年9月6日産経 ニュース
at 07:52 | Comment(0) | 高島康司

2020年09月15日

◆米国のジャパンハンドラーが画策?

高島康司


持病悪化だけではない安倍辞任の真相=

安倍首相が持病悪化を理由に辞任する。その理由が嘘とは言わないが、7月30日にジャパンハンドラーが発表したレポートを見ると、背景にあるトランプ政権の圧力が見えてくる。(『未来を見る!
『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)



【関連】最悪の2020年、次に起きる大事件とは?米抗議デモを的中させた専門家の警告=高島康司

病気「だけではない」辞任の理由

安倍首相辞任の背景にあるトランプ政権の圧力と、その理由になっているアメリカの長期計画について解説したい。

安倍首相が突然と辞任した。辞任の理由は潰瘍性大腸炎だった。これは難病に指定されたやっかいな病気である。大腸の粘膜に潰瘍やただれができる炎症性の疾患で、下痢や下血、腹痛を繰り返し、重症の場合は手術で大腸をすべて取らなければならない場合もある。

いくつかの治療薬があるが、薬で完全に治って再発しないのは1割程度とされ、8割ぐらいの患者は一時的に症状は治まっても再び発症する「再燃寛解型」と呼ばれるタイプに分類される。さらに残り1割の患者は、半年以上にわたって症状が治まらない慢性持続型と呼ばれる。安倍首相はこの「再燃寛解型」であったと思われる。


新型コロナウイルスの蔓延、それに伴う予想を越えた経済の地盤沈下、そして米中対立の激化など緊急の対応を要求する課題が多く、その激務とストレスから、かねてから患っていた潰瘍性大腸炎がぶり返し、今回の辞任に至ったというのがもっぱらの報道である。

もちろん、病気の再発が安倍首相辞任の直接的な原因であったことは疑えないが、首相を辞任に追い込んだ「別の原因」があった可能性が高いことがさまざまな方面から指摘されている
at 08:11 | Comment(0) | 高島康司

2020年07月26日

◆年内に53万人超えの衝撃予測

高島康司



日本のコロナ感染者数、。全米疾病対策センター採用AIの警告

2020年7月10日 ニュース

もっとも正確な予測を行うとされる「AI」による、新型コロナウイルスの将来の死亡者数と感染者数の予測が出た。その中身を日本を中心に紹介したい。(『未来を見る!
『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

【関連】最悪の2020年、次に起きる大事件とは?米抗議デモを的中させた専門家の警告=高島康司


※本記事は有料メルマガ『未来を見る!
『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2020年7月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

ヨーヤン・グーのモデル

新型コロナウイルスの感染者数、及び死亡者数の予測には早い段階から高度なAIが使われていた。しかしその結果は、予測を行っている機関や組織によって大きな開きがあり、決定的に外すところも多かった。

そのような状況のなか、すでに2カ月近く前の5月12日、「ニューヨークタイムズ」に興味深い長文の記事が掲載された。それは、新型コロナウイルスの全米における死亡者数を予測した複数のAIモデルの正確さを評価するものであった。

「ワシントン大学」「インペリアル・カレッジ・ロンドン」「コロンビア大学」「テキサス大学オースティン校」など、AIの研究開発では世界的に知られた研究機関の予測結果が評価対象になった。

しかし、評価の結果は多くの人々の想像を越えていた。全米における新型コロナウイルスの死亡者数でもっとも正確に予測していたのは、ヨーヤン・グーという独立系のAI研究者が開発したモデルだった。その結果は、多くの人々の予測を完全に覆すものだった。

ヨーヤン・グーは2015年に「MIT」を卒業した26歳の青年だった。上海出身だが、イリノイ州で育っている。自宅のあるニューヨークに帰省しているときに新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、実家に足止めとなった。

そこで、独自のAIのモデルを開発し、新型コロナウイルスの死亡者数と感染者数の予測を自分のホームページで公開した。その予測の的中率はあまりに高いので、いまヨーヤン・グーのモデルは「全米疾病対策センター(CDC)」の基本予測モデルに採用されている。

以下がサイトのアドレスだ。
https://covid19-projections.com/

日本の状況

ヨーヤン・グーのサイトでは、世界の主要国の死亡者数と実際の感染者数の予測を公開している。

最新の予測は、2020年11月1日までの死亡者数と感染者数である。もちろん日本の予測も公開されている。

以下がその予測だ。最小予測値と中間予測値、そして最大予測値の幅で提供されている。

最小予測値
・7月9日時点の死亡者数:981人
・11月1日までの死亡者数予測:986人

中間予測値
・7月9日時点の死亡者数:981人
・11月1日までの死亡者数予測:1,580人

最大予測値
・7月9日時点の死亡者数:981人
・11月1日までの死亡者数予測:2,738人


これが予測結果だった。これから11月1日までの間に死亡者数は最小予測値が986人、中間予測値が1,581人、最大予測値が2,738人まで増加するという結果だった。

Next:
ヨーヤン・グーのサイトでは、死亡者だけではなく、実際の感染者数の予測――
     
at 07:54 | Comment(0) | 高島康司

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