2020年12月26日

◆尖閣で中国を挑発した日本船の正体

          
高野 孟


裏で糸を引く自民極右議員の実名

尖閣諸島周辺海域での中国船の動きをもって、明日にでも中国人民解放軍
が日本に攻め込んでくるかのように煽る勢力や、政権を「弱腰」となじる
右派議員たち。しかし実際のところは領海侵犯は増えていないという事実
や、中国サイドが追尾する日本船の「正体」が国内メディアで報じられて
いないことはご存知でしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE
JOURNAL』では、ジャーナリストの高野孟さんが、中国公船が警戒追尾す
る日本漁船の正体と彼らをバックアップする政治家たちの実名を公開する
とともに、中国船の領海侵犯が増加していないことを示す海上保安庁の
データを紹介しています。


プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告
会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経
ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイ
ダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授
に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県
鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。


右翼の尖閣紛争挑発に惑わされてはならない!――この問題は事実上の「棚
上げ」を続けて塩漬けするのが一番

昨年5月以降、中国海警局の公船が尖閣周辺海域に出没する頻度が急増
し、それに伴い中国公船が日本漁船を「追尾」して威嚇するケースもたび
たび発生していると報道され、日本国民全体として中国による尖閣など日
本に対する軍事的圧迫が一段と強化されているとの印象が広がっている。
菅義偉政権は、その反中感情の広がりをほどほどに煽りつつ、尖閣に近い
沖縄=南西諸島への陸上自衛隊配備を進め、またそれをバックアップする
ためのヘリ空母配備や事実上の「敵基地攻撃可能」な長距離ミサイルの導
入計画などを進めようとしている。これを見ると、日中間の軍事的緊張が
ますます高まっていくことは避けられないようにも見える。

中国が警戒するのは「正体不明の日本漁船」

しかし、岡田充=共同通信客員論説委員のウェブマガ「海峡両岸論」
No.121(20年12月9日発行)によると、中国公船が追尾しているのは普通
の漁船ではなく、「右翼勢力のデモンストレーション船」であり、「活動
家が上陸しないよう監視するのが追尾の理由」だと、在京の中国関係筋が
非公式の場で岡田を含む全国メディア記者に説明してきているという。

● 海峡両岸論 王毅外相の「正体不明船」を報じないわけ 「対中弱腰」
批判恐れるメディア

さらに、11月24日に来日した王毅=中国外相は茂木敏充外相との会談でこ
のことに触れ、これを「正体不明の漁船が敏感な海域に侵入している」こ
とを指摘したが、日本外務省もマスコミもそのことには一切触れていない。

外務省HPの11月24日付の公式発表「日中外相会談及びワーキング・ディ
ナー」の第6項「海洋・安全保障」は、全文次のようである。


茂木大臣からは、尖閣諸島周辺海域等の東シナ海における最近の情勢を踏
まえ、個別の事象にも言及しつつ、我が国の懸念を伝達し、海洋・安全保
障分野について、中国側の前向きな行動を強く求めた。また、大和堆周辺
水域における中国漁船の違法操業について、再発防止や漁業者への指導の
徹底を改めて強く要請した。



双方は、これまでハイレベルにおいて確認してきた、東シナ海を「平和・
協力・友好の海」とするとの方向性を改めて確認し、海洋・安全保障分野
での取組を推進していくことで一致した。日中防衛当局間の海空連絡メカ
ニズムに基づくホットラインについて、開設に向けた調整が進展している
ことを歓迎した。

これに対して、岡田が参照し翻訳した中国外務省サイトの王毅発言は次の
ようである。


中国は釣魚島の最近の状況に高い関心を払っている。事実は、最近一時
期、日本の正体不明の幾つかの漁船が繰り返し頻繁に釣魚島の敏感な海域
に進入しているため、中国は必要な反応をせざるを得ないということである。


1.この問題について中国の立場は明確で、われわれは引き続き自らの主権
を断固守ると同時に3つの希望を提起する
双方が中日間の4項目の原則的共通認識を確実に順守する

2.敏感な海域で事態を複雑化させる行動を避ける。

3.問題が起きたら迅速に意思疎通を図り、適切に処理する


中日双方は共に努力し、東中国海を真に平和の海、友好の海、協力の海に
すべきである。これは中日両国人民の根本的、長期的利益にかなうもので
ある。

さあて、ここで王毅は「日本の正体不明の幾つかの漁船」と言っている。
どうして外務省も日本のマスコミもこの「正体」に触れようとしないのか。
    

2020年10月29日

◆「学術会議を悪党に」

高野 孟

暴かれた菅首相とその仲間たちの7大デマゴギー

takano20201026
 

首相から会員任命拒否についての納得できる説明がなされるどころか、閣僚経験者や一部識者等から猛烈な批判を浴びるに至った日本学術会議。しかしその多くが、「ウソやデマ」であることが判明しています。ジャーナリストの高野孟さんはメルマガ『高野孟のTHE
JOURNAL』で今回、それらの中から菅首相本人の言を含む「7つのデマゴギー」を徹底検証。さらに、学術会議が首相の足元に置かれた真の意義を改めて記しています。

プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE
JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。


学術会議問題で嘘を撒き散らす菅義偉首相とその仲間たち――7大デマゴギーを検証する

1.105人の推薦名簿は見ていない?

■ 菅義偉@朝日新聞ほかとのインタビュー、10月9日


日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人を任命しないという判断は安倍前政権ではなく現政権で下した。6人を除外する前の推薦者名簿は見ていない。


これは、自身の責任を免れたいという心情から口走ってしまった大失言。じゃあ6人を名簿から削ったのは誰なんだということになるに決まっているのに、それへの答えを準備することなくその場で口走ってしまったことは明らかで、つまり彼の答弁能力の貧しさというよりも、はっきり言って余りの頭の悪さを露呈してしまった。6人を名簿から削ったのは杉田和博官房副長官であることがたちまち判明し、今度は安倍・菅両政権の官邸を実質取り仕切っているのは警察官僚であるという「警察国家」的な実態が晒されることになった。

2.現会員が後任を指名できる?

■ 菅義偉@内閣記者会会見、10月5日


現在の会員が自分の後任を指名することも可能。推薦者をそのまま任命してきた前例を踏襲して良いのか。

■ 菅義偉@ジャカルタでの記者会見、10月21日


日本学術会議の会員選考は、現在の会員が後任を推薦することも可能な仕組み。


菅首相が一知半解の法律知識で判断し発言していることの証拠。当初、彼は学術会議からの推薦通りに任命しなかった理由として、「現在の会員が自分の後任を指名することも可能」になっていて、そのような閉鎖的仕組みで指名された人が推薦され、それを首相がそのまま任命してきた前例を踏襲する必要はないという趣旨のことを述べた。これはまるっきり事実誤認で、実際には現会員210人と連携会員約2,000人が各自2人まで推薦し、そうすると4,000人超ものリストとなり、それを選考委員会が明確な基準に従って学術的業績などを吟味した上で、105人のリストを9カ月かけて作り上げるので、現会員の個人的な恣意によって後任を指名するなどということはあり得ない。


それをさんざん指摘されたので、菅首相はジャカルタで、後任を「指名」ではなくて「推薦」できるだけだと発言を修正したのだが、そうであればこのことが任命拒否の理由になるはずがないことにも触れ、自らの法解釈の誤りを謝罪し、6人の任命拒否を撤回すべきであるけれども、そこには踏み込まない。