2008年10月01日
◆「中山発言」は本当に失言か?
毛馬一三
<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」(10月1日号)に掲載されました。>
麻生太郎首相は、29日臨時国会の所信表明演説の中で、就任5日目で辞任した中山成彬国土交通相の一連の発言を取り上げ、「閣僚としてははなはだ不適切。国民各位、関係している方々に心からお詫びを申し上げる」と異例の陳謝を行った。
中山氏は成田空港の反対派住民を「ゴネ得」と批判。また、教育行政の正常化を手がけた元文部科学相の立場で「大分県教育委員会の体たらくなんて日教組(が原因)だ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」と発言した。
これを重大失言だとマスコミや野党が槍玉に上げ、中山氏は辞任に追い込まれた。中山氏は「(自分の発言で)国会に審議が滞ることには耐えられないという思いから、潔く身を引く決意をした」と記者会見で心境を語っている。
確かに中山氏の一連の発言は、国務現職大臣としての見解表明としては必ずしも適切だとは思えないという意見があることは事実だ。
だがほんとうに同氏の発言は「失言」なのだろうか。むしろ「失言」と決め付けるのは的外れで、声なき声の「代弁である」と評価同調する人たちが多数潜在しているのも紛れも無い事実である。
「頂門の一針」の常連寄稿者・阿比留瑠比氏が29日号の同欄に下記のような記述掲載されている。
<中山前国土交通相の一連の発言が波紋を広げています。私も、野党やマスコミに揚げ足をとられたり、追及されてレッテルを貼られたりすると分かっているようなことを、何も注目を集める公式の場で言うことはないと思いますし、この人は以前から言葉が軽いところがあるので、その意味では不適切だったと思っています。
ただ、中山氏の発言の中で、日教組に関する指摘には、強い共感を覚えます。「日教組は日本の教育の『がん』だ」という発言は、まさに事実そのものであると思っています>。
この阿比留氏が中山氏に寄せる共感に対し、これに共鳴する声が大阪の知人の間から筆者の下に寄せられている。加えて中山氏の「日教組の解体」の発言こそ、日頃から抱いている「日教組に対する不合理な思い」をよくぞ代弁してくれたという、謝意の意が目立つ。
中山氏は、地元宮崎市での自民党宮崎県連の会合で「日教組は過激な性教育を行い、国旗・国歌も教えず、道徳教育にも反対している。民主党の最大の支持母体である日教組を解体する。ぶっ壊す」と述べ、引き続き日教組と全面対決していく考えを強調している。
「頂門の一針29日号・話の福袋欄に(なみお)さんは下記のように記述されている。
<そもそも教職員が自ら労働者として成り下がるようなこうした組織がある限り、日本の教育は立ち直れません。かって教職は聖職なりと言われていた時代にはこんなモラル崩壊や先生の不祥事などは考えられなかったものです。(中略)
戦前、戦中を通じての比較対照をもつ人間としては万死に値する無念さを感じざるを得ません。将来の健全な子どもたちを育成し、日本をもう一度世界に冠たる民族として認知さ
せるためにも声を大にして「日教組は解体せよ!」と云いたいものです>。
前述のように、麻生首相が敢えて所信表明演説の冒頭で、中山氏の一連の発言に陳謝したが、これはあくまで国会審議や総選挙への影響を最小限に抑える必要からの判断と思われる。
だとすれば、そうした次元とは離れて、この中山氏の発言をきっかけに日教組の実態を改めて真剣に見直す必要があるのではないか。大阪府の橋下知事も中山氏にエールを送っている。
とりわけ週5日制の「ゆとり教育」の実施を文部科学省に迫り、小中学生の学習意欲と学力の低下要因をつくり上げる肩棒を担いだ日教組が、日常的には労働組合を隠れ蓑に地位保全のみに執着し、日本の教育を枉げていると指摘される実態を検証する好機となるだろう。
中山氏が一国会議員の立場で「日教組解体」叫んでも、これほど問題にはなっていない。閣僚としての発言だったことが、「日教組」のあり方の再考に火をつけたものだと指摘する関係者は多い。中山氏の発言が本当に「失言」だったかどうか、明らかになる筈だ。
◆メイル・マガジン「頂門の一針」1333号 平成20(年10月1日(水)
<目次>
・日米は選挙を延期せよ:平井修一
・中華人民共和国の成立:渡部亮次郎
・「中山発言」は本当に失言か?:毛馬一三
・日教組組織率と学力は無関係:平井修一
・「教育勅語」に文法の誤り?:池田一貴
・話 の 福 袋
・反 響
・身 辺 雑 記
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