川原俊明(弁護士)
最近、ある新聞社から取材を受けました。
弁護士法人 川原総合法律事務所のホームページには、弁護士費用の支払にクレジットカード決済が可能だと書いてあるが、日本で初めてのことなのか、ということでした。
その記者によると、現在、日本弁護士連合会が、東京・大阪など、各地域の単位弁護士会に対し、カード決済の是非について調査を開始している、とのことでした。
私は、この話を聞いて、弁護士の世界が、如何に現実の経済社会とかけ離れた実態であるかを痛感しました。
クレジットカードの歴史は、日本でもすでに約50年の歴史があります。
1960年、日本ダイナースクラブがプラスチックカードを発行したことが記録されています。現在の日本だけでも2億3000枚ほどのクレジットカードが発行され、人口を2倍上回っています。今や、複数枚所持が当たり前で、現金に代わるほど利用価値が高まっています。
これほど、カード社会の現代において、弁護士費用を現金でしか扱えないと考えている弁護士の存在自体が、時代錯誤ではないでしょうか。
私たち弁護士は、法的ノウハウを、商品として顧客たる依頼者に提供しているのです。
小売り販売店が扱う商品が、形のある電気製品や食品であり、私たち弁護士の扱う商品が、形のない法的ノウハウであろうと、「商品の提供」という意味では何ら変わりがありません。
商品の提供に対する対価が、現金であろうと、小切手、約束手形、クレジットカード決済のいずれであろうと、依頼者の要請に応じることに何ら問題がありません。法律事務所にとっては、カード会社に手数料を支払うデメリットがありますが、依頼者は、銀行から現金を引き下ろす手間を省け、カード会社からポイントが付くというおまけまで付いています。
もちろん、経済的に困窮した依頼者が破産手続を含む債務整理を依頼しようとする場合は、弁護士がカード決済に応じるはずがありません。
それは、場合によっては詐欺に荷担することであり、弁護士倫理に反することでもあります。
しかし、一般事件の依頼者に対し、カード決済に応じている法律事務所が物珍しいと思うこと自体、本来おかしいのです。
総合病院の治療費の支払いに、カード決済が導入されていて何ら不自然ではない時代なのです。
日弁連が、今頃になって、弁護士費用について、カード決済の是非を検討すること自体、感覚のずれを感じます。
弁護士は、もっと社会常識、経済動向を把握すべきでしょう。
2009年01月14日
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