2009年09月27日
◆久しぶりの「奈良散策」
毛馬一三
長男夫婦に誘われて、久しぶりに古都「奈良」近郊を散策してきた。10年振りの「奈良」行きだったが、近郊集落の古き萱葺きの農家はすっかり消え失せ、秋口に撓む稲穂の波や実った農作物の姿も見ることも出来ないのに驚いた。
何とその辺りは中高層マンションが立ち並ぶベッドタウン化しているのだ。まち中を繋ぐ道路は、都会以上の完全舗装で、道筋には洋食レストラン、コンビニ、大型スーパーなどが軒を並べている。古都「奈良」を支えてきた古色豊かな近郊の里の姿は、今やない。市街化の波がこの近郊の地まで襲ってきたのか。これでいいのだろうか。
そんな思いをしながら、近郊を回った後、奈良県香芝市上中787−1にある「おはぎ屋」に向かった。知る人ぞ知る有名な「おはぎ」屋だそうだ。「おはぎ」に目がない筆者だが、不覚にも「奈良」にそんな処があるとは知らなかった。「奈良の昔の味」に出会えるのなら、それこそ最高と気持ちを切り替えた。
午前中の早い時間に店に行かないと目当ての「おはぎ」は売り切れてしまうという。「おはぎ」の老舗「大和紅之屋」を着いた。こじんまりとした店の前には、まだ午前10時前なのに、なんと長蛇の列の客が並んでいる。
北海道産十勝小豆と兵庫県三田産のもち米を使い、日本古来の製法で丹念に手作りする、昔ながら「おはぎ」だそうだ。30分ほど立たされて待った意地もあって、10個入り、6個入りをそれぞれ2箱、店頭にあった店特産という「赤飯」も3個買った。食した感想は追々―。
「おはぎ」を買ったあと、「奈良」の古寺や旧跡を回りたかったが、今回は「生もの」を買った所為もあって、遠方へ回る散策コースを諦め、古都の雰囲気を残しているという少し離れた「天然温泉」・大和―神の牧温泉の「虹の湯」に向かった。
ひと風呂浴びたあと、木々に囲まれた景色を眺めながら昼食を楽しめば、少しは「奈良」の気分に浸れるかなと思ったからだ。
700円の入場料とタオル代200円を払って脱衣所に入る。風呂場に足を踏み入れてお湯で体を洗い、まず「ジェットバス」の流水で体をほぐした。秋の日差しが差す室外に出ると、自然の岩と樹木を囲まれた大型野天風呂が幾つも見渡せる。檜風呂、信楽焼きの大壷湯、巨大な岩に囲まれた岩風呂、一人で楽しむ伝来の五右衛門風呂。
他所には滅多に無い頭上から滝の湯が流れ落ちてくる「打たせ湯」。それらを一通り回ると、体がほてりだして、血行がよくなるのを自覚する。 泉質は、高濃度ナトリュームと塩化物温泉だという。風呂の数は、野天風呂合わせて男性19・女性18もあり、湯の力がゆったりとした気分と新しい活力を引き出してくれそうな感じだ。
さて、温泉を堪能したあと昼食をとり、急いで帰途に着いた。帰宅すると家族全員で早速、「おはぎ」を食してみた。柔らかさと甘みが最高。まろやかな酸味も口内全体に広がる。昔ながらの懐かしい田舎おはぎ味の醍醐味だ。こんな素晴らしい「おはぎ」が奈良で受け継がれていたのか。「お赤飯」にも箸をつけてみたが、これも風味と舌触りに文句なしだ。
今回の「奈良」散策は、意外なまちなみの風景を目撃し衝撃を受けたことはたしかだ。だが、昔ながらの「おはぎと赤飯」を求められたことや、「奈良」の雰囲気を味合わせてくれた「温泉」に漬かれたのは、一興だった。
そういえば、今回の散策地の先には、聖徳太子の五重の塔や万葉の道がある。今でも古代の香りを精一杯匂わせてくれる名所だ。今度は、本場の「奈良」を訪ねてみたいものだ。(了)
09.09.26
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