2011年12月15日

◆光秀の神社祈願のなぞ

河崎 勝ニ


「火廼要慎」神社の総本山で有名な京都愛宕神社へ参詣した。その時、私が長年脳裡に澱んでいた「歴史の謎」が解けた。感極まった。そのことは追々。

京都右京区愛宕山の山頂にある愛宕神社は、大宝年間(701年〜704年)に創建されたもので、「火伏せ・防火」として霊験ある全国800神社の総本山。本殿で頂く」の火伏札は、京都・大阪などの料理屋や一般家庭の厨房に貼られ、崇められている。

この神社の一番有名なのは、標高924mの山頂にある「愛宕神社」までの山道と石段が、昔のまま、今も残っていることだ。

そこで私が気になっていたのは、明智光秀が本能寺の変で織田信長を暗殺する天正10年(1582)6月2日の1か月前の天正10年5月に、ここ「火廼要慎」神社に祈願するため足を運んだ事だった。

愛宕神社は、「火廼要慎」の神様であって、先勝祈願の神社ではない。だとすればどうしてこの「愛宕神社」をわざわざ祈願に赴いたたのだろうか。一大勝負を控えた瀬戸際の時に、敢えて「火廼要慎」神社に祈願しなければならない理由があったのだろうか。これが私の大きな「謎」だった。

さて、話を冒頭に戻そう。

「愛宕神社」のある京都愛宕山山頂を大阪から目指したのは、朝7時50分だった。

阪急「嵐山駅」で降りて渡月橋を渡り、京都バス経由で登山口となる「清滝」で下車したのが午前9時30分。そこから小さな朱色の鳥居を潜り、表参道に出る。山頂まで50丁の愛宕神社までの長い急坂の山道への挑戦がここから始まった。

脚力には自信のある仲間同士だったが、急勾配の長い山道を上るにつれ息切れが激しくなり、杖を頼りに大きな息を吐き出しながら、ただ黙々と上を目指す。

7合目に来ると杉に覆われた森林の隙間から展望が拓け、広沢池、桂川、京都市街が眼下に広がった。緩やかに呼吸を整えながらの歩行法で更に登ると、休憩所のある広場に着いた。メンバーから歓声が上がる。

少し登って黒色の総門を潜り、丁度正午に社務所に到着。そこから237段の石段を上がり、の本殿に並び、息を整え雑念を払って一礼・二拍手、「家内安全」「火廼要慎」を祈願。再び一礼して参拝を終え、石段を降りて社務所の広場に戻った。

3歳までに参拝すると一生火事に遭わないといわれるため、大勢の参詣者が社務所に集まり、「火廼要慎」のお札と「御神籤」を求めている。

私も社務所を訪ね、白装束姿の男性職員に思い切って声をかけみた。予てから秘めていた「謎」を尋ねてみたからだった。

その職員から返ってきた話に、息を呑んだ。

<戦国時代の頃のこの神社は、本殿に愛宕大権現の本地仏の「勝軍地蔵」が祀られ、各地割拠の武将からは「戦勝祈願の神社」の象徴として崇められていたのだそうだ。。

だから、近隣の亀山城主だった明智光秀は、ここ「愛宕神社」に駆けつけのは、本能寺を攻めて勝てるかどうか占うため、この「勝軍地蔵」に祈願し、「吉狂」を占ったのだ。「火伏せ防火の神」に祈願したのではない。

光秀は、神社本殿で「籤」を引いたという。4回目にしてやっと「吉」を手にした。そこで悲願の本能寺攻めを決意したと謂われている。

序でながら、「吉」に安堵した秀光は、その翌日この社務所の前身である「西坊威徳院」で連歌会を開いている。

その時詠んだのが、あの有名な「ときは今 あめが下しる 五月かな」だったのだ。

これを聞いて、1300年前から「火伏せ防火の霊場」とされてきた当神社が、実は戦国時代は、武将にとっては「勝軍地蔵」に捧げる「戦勝祈願の神社」で、光秀の祈願の目的も、「火廼要慎」祈願ではなく、暗殺必勝を祈願する「籤」引きだったという「歴史的謎」が、遂に解けた。

同職員は付け加える。

<この神社での必勝祈願参拝は、光秀だけではない。記録によれば仙台の武将・独眼流伊達政宗も参拝しているおり、直江兼続の兜の「愛」も、本神社の名との関わりを持つ>、のだそうだ。

長年包まれていた「謎」をあっという間に払拭してくれた社務所の職員に深々と頭を下げ、仲間の待つ広場に戻った。

聳える「愛宕神社」に目を遣ると、歴史の時間と空間が蘇るような気がする。脚力の限界を超える初体験の山登りだったが、歴史の謎解きと直に向かい合えたことは無常の喜びだった。
参考―フリー百科事典「ウィキペディア」、「関西周辺の山250(山と渓谷社刊)」
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。