平井 修一
小生は軽減税率は止めてくれと主張しているが、新聞はそのオコボレにあずかろうとしているから反対論は大きくは扱われてはいないようだ。以下のような至極まっとうな論考は新聞には載らない。
ファイナンシャルプランナー・中嶋よしふみ氏の論考「225円のために軽減税率なんていらない」(アゴラ11/4)から。
<先日、消費税10%アップへの緩和措置として、生鮮食品に限って8%にする案で自民党税制調査会が調整に入ったと報じられた。これによって失われる税収は3400億円だという(軽減税率は生鮮食品軸 自民税調「新聞・出版」も検討 産経新聞 2015/10/25)。
また、従来公明党が主張していた「酒類を除く食料品と新聞・出版物」に対象を広げた場合では、1兆から1.3兆の税収減になるという。こういった一部の商品のみ消費税を低く設定することを軽減税率という。
すでに経済学者や軽減税率導入によって手間・コストの負担を強いられる小売業の団体等は反対を表明している。麻生副総理も手間がかかる上に社会保障にまわすお金が減ってしまう、とストレートに反対の意思を表明している。
その一方で新聞各紙の世論調査では6割から7割が軽減税率導入に賛成というアンケート結果も出ている。
*1か月225円のために軽減税率を導入する必要はない
ではどうすれば良いか。一番シンプルな対応は軽減税率を止めて、増税の緩和措置を一切やらないことだ。元々、今回の増税は社会保障にあてられるため、お金がどこかへ移転するだけの話で、増税分が消えてなくなるわけではない。
軽減税率を導入した場合、POSレジの入れ替えや会計システム、在庫管理システム等の変更に伴うコストにより、日本全体でマイナスが発生する。すでに散々指摘がなされているが、軽減税率は収入が高い人にも適用されるなど、無意味な上にコストがかかるだけだ。
3400億円は確かに大金である事に間違いはないが、これを日本人の人口約1.26億人で割ると、一人あたり年間約2700円、1か月あたりに直せばたったの225円だ。そんな少額の負担軽減のために、日本全国のスーパーやコンビニが対応しないといけないのかと考えると、はっきり言って馬鹿らしいの一言だ。
どうしても負担軽減が必要ならば、一人当たり2700円を市役所や区役所で現金給付すれば良い。わざわざ日本中の小売店の手を煩わせる必要はない。もちろん、それでも手間もコストもかかるが、軽減税率よりはマシだろう。軽減税率に賛成をしている多くの人は、本当に1年間でたった2700円の負担を減らしてもらうために莫大なコストと手間を小売店に負担させるべきか、よく考えるべきだ>(以上)
まったくもって正論だ。制度というのはシンプルが一番で、特例を作るとあれもこれもとなり訳が分からなくなってしまう。新聞のアンケートに答えるのは60歳以上の暇を持て余している専業主婦で、基本的に中2レベルだから、減税はいいものだとしか考えていないのだ。こういう手合いに迎合するのは衆愚政治でしかない。軽減税率は愚策駄作、愚の骨頂だ。
改めて書くが、消費税の10%への引き上げは現実無視の無理筋。昨年の増税で消費は極端に冷え込み、当分は再増税できる状況ではない。デフレから脱却し、足腰がしっかりしてきたら改めて検討すればいい。社会保障費を削らなければ財政は改善されないことを肝に銘じるべきだ。
(2015/11/5)