平井 修一
田牧一郎・田牧ファームズ代表の論考「カリフォルニア米の衝撃5キロで650円 TPP合意で日本のコメは変わるか? 」(ウェッジ11/7)から。
<実際に流通することになるのは、カリフォルニア産中粒種である。ここで中粒種を断定できるのは、カリフォルニアでの短粒種栽培面積や、生産コストそして流通価格などから、総合的に考えると、日本への主食用無税枠を利用して輸入されるのは、中粒種になってしまう。
カリフォルニアでの短粒種生産は、その作りにくさや面積当たりの収量が低いこと、そして精米歩留まりが悪いことなどから、白米の生産費が高く、実際現在のロスアンゼルスやニューヨークでは、日本のスーパーで販売されている白米より、高い価格で販売されているブランドもある。
それに対し中粒種は栽培しやすく、安定して高い収穫量を得ることができるため、その白米の生産コストも短粒種(コシヒカリ)の60%〜70%程度の額になる。
この中粒種をカリフォルニアの精米工場で日本向けに包装して出荷すると、5キロの袋で550円程度の価格で出荷される。ここから日本までの運賃や通関費用が5キロで約50円、日本に陸揚げされた段階で合計600円/5キロのコメになる。
これに輸入商社の経費と利益、日本国内の販売業者の経費と利益を、いくらで計算するかで、消費者への販売価格が決まる。ここでも仮に50円/5キロとすれば、650円/5キロとなり1キロあたり130円のコメになる。
日本のスーパーで販売される低価格米と比較しても650円/5キロは、安いコメになる。しかし、品質と味の違いがそこまであり、その差をどのように考えるかが消費者の選択にゆだねられるとことである。中粒種の産地であるカリフォルニアの大都市でのコメの販売は、その価格と味によってすみわけが行われており、日本にもこのすみわけは起こりえると予測できる。
キロ当たり130円の中粒種は、日本の消費者も食べてみたくなるはずで、品質の良くない国産米よりも美味しく感じるかもしれない。この低価格中粒種が、国内で主食として消費される量(筆者推定600万トン)の1%の量とはいえ、日本のコメ価格に影響を及ぼさないはずがない。現状よりさらに低いコストで生産をして、精米・流通コストも低く抑えながら、消費者に買ってもらう努力が、コメの生産から販売までかかわる業界に強く求められる>(以上)
田牧氏はコメ作りのプロだろうが、ちょっとこの論考はおかしいのではないかと小生は思う。
スーパーの粗利益率、つまり仕入れ価格に何%乗せて売るかという率は、35〜45%あたりだ。スーパーの店長に聞いたことがあるが、ロスや値引き販売が生じやすい生鮮食品は40〜45%になるそうだ。
陸揚げ時に600円/5キロのコメに「輸入商社の経費と利益」「卸問屋の経費と利益」をそれぞれ10%、スーパーの粗利益率を40%とすると、販売価格は、
600円×1.1=660円→660円×1.1=726円→726円×1.4=1016円となる。実際は二次問屋などもあったりするし、計算は複雑なのだろうが、5キロで1000円というのは特売で珍しくないのではないか。わが家では1500〜2000円ほどの米をいつも買っている。これより安いのはそれなりの味でしかない。
5キロ1000円で美味しいのなら国内産米に影響するが、美味しくて人気ならスーパーは1400円、さらに1600円で売るだろう。市場経済とはそういうものだ。供給不足、需要過多なら値上げする。当たり前だ。
米作農家はいたずらに輸入米を恐れるなと言いたい。ひたすら美味しい米を作り、世界に普及することに力を入れてほしい。「日本の米は高いけれど異次元のおいしさだ、安心だし」と評価されるようになってほしい。日本の製造業はそれで成功したのだから。(2015/11/7)